365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> コニファー‘ブルーアイス’
友人宅の庭には樹高2.5mくらいの‘ブルーアイス’があり、毎年この時期にはその葉を利用してクリスマスリースを作るそうです。黄緑色の葉はやはり庭で育っているクジャクヒバ。手作りリースのナチュラルな雰囲気がとても素敵だと感じました。■属科・タイプ:ヒノキ科の針葉樹
■鑑賞期:通年
シルバーブルーの木をクリスマスツリーにしてみたい!
コニファーとは針葉樹の総称で、日本ではとくに観賞価値が高く、洋風の庭にも合う種類を指します。マツ科、ヒノキ科、スギ科、マキ科、イチイ科などに分類される木が多く、種類も豊富にあります。
かつてコニファーが大流行したことがあり、個人邸や集合住宅、商業施設の外周りの植栽に明るい葉色が魅力の‘ゴールドクレスト’をはじめ、さまざまなコニファーが利用されました。当時はコニファーを植栽に利用するのは新鮮で、洋風の住宅によく似合うしゃれた木だと大人気になりました。
ところが、長く楽しむつもりがすぐに枯れてしまうことも多く、がっかりされた方も多かったようです。コニファーは基本的には冷涼な気候を好むので、高温多湿な日本の温暖地では栽培が難しい場合も多いのです。
さて、樹高が高くなるコニファーの中で、寒冷地よりむしろ温暖地の環境のほうが育ちやすい品種が登場しました。それが‘ブルーアイス’です。正式にはヒノキ科のアリゾナイトスギの園芸品種で、青みがかったシルバーリーフがとても美しい木です。
同様にブルーシルバーの葉がきれいな‘ボールバード’もありますが、こちらはヒノキ科のサワラの園芸品種で寒冷地に適しています。環境に適した種類を選べば、すぐに枯れてしまうこともなく、管理の手間も少なくてすみます。なお、‘ボールバード’はブルーバードの名前でも出回っています。
シルバーブルーの葉が美しい‘ブルーアイス’は、自然樹形できれいな円錐形になるので、庭に植えていればこの時期にはクリスマスツリーとしても利用できます。青みがかったクリスマスツリーに、どんなが飾り付けをしようかと毎年悩むのもまた楽しそうです。
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耐寒性・耐暑性共に強く、丈夫な性質です。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。根が浅い位置に張るので、強風で倒れない場所を選ぶことがポイント。幼木の間は支柱を立てて支えておきます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。肥料をやりすぎると成長が旺盛になり、樹形が崩れてしまうこともあります。地植えの場合は、水やりは雨まかせでかまいません。大きくなるまでは強い剪定の必要はありません。木の内側の枯れ枝などを取り除き、風通しのよい状態にしておく程度でかまいません。木の頂点を切ってしまうと、きれいな円錐形にならないので気をつけてください。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。