365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ハナカンザシ
白い花弁が透けているのがわかりますか? ハナカンザシの花弁はカサカサした感触で、見た目もとても軽やかなのが魅力です。堅い蕾が赤紫なのも素敵。■属科・タイプ:キク科の宿根草
■花期:12月〜翌年5月
■草丈:10〜20cm
これほど軽やかな白花はなかなか見かけない!
花がもりもりと咲くのは春になってからですが、この時期に蕾がついた促成栽培の苗が多く出回り、冬の間から花数は少ないながらも咲き続けるので、少し早めに紹介しておきます。ハナカンザシというのは流通名で、学名のローダンテ・アンテモイデスを略してローダンテの名で出回ることもあります。本来は宿根草ですが、梅雨時の蒸れに弱いので、一年草として扱われる場合もあります。
白い花弁に花心の黄色、とコギクのような雰囲気のハナカンザシですが、花に触るとカサカサとしているのが大きな特徴です。個性的な植物が多いオーストラリア原産と聞くと、花弁の質感にもオージープランツらしい個性を感じます。カサカサしているだけでなく、花弁がとても軽く、花色の白も透けるような感じでとにかく軽やかな印象を受けます。周囲に他の植物が植えられていると、花弁の質感の違いが際立ち、軽やかながら存在感を示します。
愛知県にある観光ガーデン内には、白い花を集めたホワイトガーデンがあるのですが、ハナカンザシは冬の間から花が咲くので欠かせない存在になっていました。白いストックやビオラ、パンジーなどを集めた花壇は気品があり、とても素敵だなーと感心しました。
3月に同じガーデンを訪ねると、ハナカンザシも他の花ももりもりに咲き、とてもエレガント。ただ、個人的には花数は少なくても凜とした雰囲気が感じられる冬のホワイトガーデンをより気に入りました。
ご近所を散歩していると、この時期は植えつけたばかりのハナカンザシをよく見かけます。これから寒い冬を経て、春に株いっぱいに花を咲かせる姿を継続的に眺めさせてもらおうと楽しみにしています。
冬の観光ガーデンで見かけた寄せ植えには、ハナカンザシ、ビオラ、矮性のキンギョソウ、スキミアなど、この時期から花が楽しめる植物で作られていて、とてもセンスがいいなと感じました。栽培の難易度
日当たりがよく、風通しのよい乾燥した場所を好みます。夏場の高温多湿には弱いので、宿根させるなら明るい日陰に植えるのがおすすめです。植えつけ時に元肥を施し、秋に緩効性肥料を追肥します。地植えの場合は、水やりは雨まかせでかまいません。鉢植えの場合は表土がからからに乾いたらたっぷりとやります。乾燥には強いので、水をやりすぎないように気をつけます。花後に古い茎や枯れた茎を切り取り、株の中の風通しをよくしておきます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。