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野趣豊かに咲く「冬のツバキ」が見ごろ。庭木の参考になる注目品種をご紹介!

2022.12.29

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

冬咲きのツバキ


冬咲きのツバキ濃い紅色に白い斑が入る華やかな八重咲きの‘菊冬至’。咲き出しが早く、毎年冬至の頃には花がたくさん咲いています。ちなみに今年の冬至は12月22日でした。

■属科・タイプ:ツバキ科の高木
■花期:11月下旬〜翌年1月上旬

艶やかに野趣豊かに冬のツバキが咲いています



サザンカに続き、ツバキが続々と咲き出しましたね。この時期の花壇は草丈が低い花がほとんどなので、散歩道でも視線を下向きにして歩いています。ところが歩いていると自然にパッと目に飛び込んでくる花色で、ツバキがあちらこちらで咲いていることがすぐにわかります。

ツバキには非常に多くの種類があり、品種によって開花時期も異なります。9月から咲き出す秋咲きに続き、12月くらいからから咲き出す冬咲き、年明けの1月から咲く早春咲き、2月以降に咲く春咲きに分けられ、春咲きが終わるのが5月。ということは6月〜8月の3か月を除けば、何かしらのツバキが咲いている! 日本も原産地の一つですが、いかに日本の環境に適した花木ということがよくわかります。

そこで、今回は12月〜翌年1月にかけて咲く品種をピックアップします。散歩の途中でツバキを見つけたら、どの品種か写真と照らし合わせてみてください。

ところで、ツバキに侘助(わびすけ)と呼ばれる種類があることをご存じでしょうか。ツバキは昔から茶花として親しまれてきましたが、なかでも侘助の楚々とした中に野趣を感じさせるシンプルな花形はとても好まれています。じつは侘助と名乗るには満たさなければならない条件があります。

まず、マストな条件が‘有楽’という品種を親にしていること。次に葯(やく)が退化した雄しべ(侘芯)を持つこと。そして子房がサザンカのように毛で覆われていること。ただし最後の条件はマストではないそうです。この条件をクリアした‘白侘助’を基本に、‘紅侘助’、‘数寄屋’‘蝴蝶侘助’などの品種が出回っています。侘助も冬咲きなので見かけることがあると思います。もし、ツバキの品種をたくさん見たい場合には、少し遠出をして各地にあるツバキ園まで出かけてみるのもおすすめです。

冬咲きのツバキ侘助の基本色ともいわれる白侘助。花弁は5枚で、猪口のような形から咲き進むと浅皿状になります。八重咲きのツバキのような華やかさはありませんが、野趣を感じさせる品種で、1本だけ花びんに挿しても絵になります。11月から咲き出します。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

苗木の植えつけは10月〜翌年5月までが適期です。耐陰性があるので、北側の庭など、日照時間が少ない場所でもよく育ちます。植えつけ時に完熟堆肥・腐葉土などを土にすき込み、ポットから取り出した苗を根鉢を壊さないようにセットし、すき間を土で埋めます。植えつけ時にたっぷりと水やりしたら、あとは雨まかせでかまいません。花が終わる頃に緩効性肥料を株元に施します。剪定は3月〜5月に行います。周囲の景色が透けて見える程度に、枯れた枝や古い枝、長く伸びすぎた枝をカットします。欲しい樹高まで成長したら、それ以上に伸びる枝をカットするとコンパクトな樹形を保てます。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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