歌い方とそのテクニックを学びましょう
佐渡さんの楽譜。独唱が伝道師のように呼びかけると、合唱も「不思議な力“Deine Zauber”……」で勢いづいていきます(1ページ目の3に当たる箇所)。写真/本誌・武蔵俊介1.子どもからおばあちゃんまで歌える音楽と思いきや実は難しい。まずは音域を広げる発声練習から始めましょう有名な歓喜の歌自体は“ドレミファソ”の5音だけを使った簡単なメロディですが、合唱の後半ではこのテーマのいちばん高い音からさらに1オクターブ以上も高音を求められるので、それぞれ最大限音域を広げなければなりません(最高音はケルプの登場時です)。最初に10分ほどしっかり発声練習をすると、初めてのかたでもだいぶ変わります。頭をつられているように、たくさん息を吸って! 皆で声を出すのは健康的だし楽しいですよね。
2.喜びを全面に出して、“フロイデ(歓喜)”を歌いましょう第4楽章で合唱団が初めて声を出して歌う「フロイデ!」。とても大事な部分です。まず自分の中で嬉しいと感じること、やったー!と思うことを思い浮かべてみましょう。歌う前には準備体操したり、歌が届きやすい方向に腕を広げたり、ジャンプしたり。きちんとエンジンがかかるように「僕の腕がおりる30センチ前から巻き舌を準備して歌ってください」と伝えています。すると、全然違いますよ!
3.人の陰に隠れず声を出して。一人一人が主人公になっていきましょうマーチで茨の道を進みゆくと、突然霧がスッと晴れたようになり──そこから歓喜の歌を全員で歌う、いわゆるサビの部分が始まります。1万人もいるから隠れてもいいと思っている人がいると、ここでよい効果が出ません。まずは一人一人が主人公になってほしいと強く伝えています。「私にはそんな才能ありません」とおっしゃるかたもいますが、練習を何度も重ね、皆さんそれぞれ「不思議な力」が働いているはず。どうぞ、輝いてください!
佐渡 裕さん指揮の「第九」コンサート
新日本フィルハーモニー交響楽団
「第九」特別演奏会202212月17日(土)14時開演
サントリーホール
12月18日(日)14時開演
すみだトリフォニーホール
12月20日(火)19時開演
東京オペラシティ コンサートホール
12月23日(金)19時開演
横浜みなとみらいホール
12月24日(土)14時開演
Bunkamuraオーチャードホール
※詳細は新日本フィル・チケットボックス
TEL:03(5610)3815
〔特集〕「第九」をもっと楽しむ
01
「第九」をもっと楽しむ02
「第九」第4楽章の歌い方
この特集の掲載号
『家庭画報』2022年12月号
※智天使、ケルビムとケルプは同義です。 撮影/本誌・大見謝星斗(佐渡さん譜面) 取材・文/菅野恵理子 編集協力/三宅 暁
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。