写真/川上和人21世紀まで、誰もその鳥を知らなかった
選・文=川上和人(鳥類学者)
この鳥が新種として発表されてからまだ12年しか経っていない。日本で繁殖する鳥の中で、最も新しく発見されたのがこの鳥である。
彼らの繁殖は、小笠原諸島の東島という無人島だけで確認されている。地面に掘った穴で営巣し、夜間にしか巣に出入りしない。数も少なく、誰も存在に気付かなかったのだ。
写真/川上和人先進国で未知の鳥が見つかることはほとんどない。日本の首都たる東京都で、21世紀までこんな鳥が隠れていたとは驚くべきことである。
とはいえ日本には6000以上の島があり、島ごとに違う生態系がある。それこそが日本の自然の最大の魅力だ。
写真/エムオーフォトス〈aflo〉今もなおどこかの島で、まだ名前もつけられていない鳥が、誰かに見つけてもらうのを待っていることだろう。
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。