「『起きることは起き、起きないことは起きない』。この言葉の本質を理解すれば、かなり生きやすくなる」と僧侶の小池龍之介さん。「ああすればよかった」と後悔することなく、軽やかに今後の人生を生きる秘訣を伺いました。
人の考えや行動を変えようとすればあなたが苦しむだけ
神奈川県・月読寺と山口県・正現寺の住職であり、ベストセラー『考えない練習』の著者でもある小池龍之介さん。まだ30代でありながら、仏の道を独自の視線で紹介し、幅広い年代層から人気を博しています。
新聞や雑誌で多くの読者からの悩みに応えている小池さんは、それらの悩みに共通する特徴があると言います。「意外に思われるかもしれませんが、相談の大部分は自分に関するものではなく、ほかの人に問題があるというもの。たとえば、母親がこんなことを言う、弟が事業に失敗した・・というように『この人はこうあるべきなのにそうならない』とおっしゃいます。自分に関する悩みだったら、自分が変わりさえすれば解決しますが、他人の考えや行動を変えることは、私たちの能力を超えています。それを望むなら、永久に解決せず、自分を苦しめるだけです」
では、どうしたらその苦しみを減らせるのでしょうか。
「たとえば、ある女性が50代の妹がいまだに独身でいることを気にかけているとします。本人は妹思いだから心配していると思っていますが、それは勘違い。まずは、なぜ、妹のことがそれほど気になるのかを自問自答しましょう。自分の寂しさや、愛されたい気持ちといった自分に関する問題から目を逸らそうとしているだけなのです。それに気づくだけで、問題は解決にぐっと近づきます。そうすれば自ずと苦しみも減ります」