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年齢とともに虫歯リスクは上がります。オーラルケアと定期健診で予防・早期治療を

2022.12.08

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歯髄炎と根尖性歯周炎の治療には時間がかかる


歯髄炎が軽症であれば神経を残し、虫歯の部分を削って詰め物をするだけですみます。しかし、痛みが強い場合や虫歯と歯髄が広くつながっている場合は神経を抜く治療が必要です。

この治療では歯髄を覆う象牙質も除去して根管の形を整え、根管全体に充塡物を詰めます。その後、歯を土台の材料で補強したうえで金属やセラミックの冠(クラウン)をかぶせます。

根尖性歯周炎では、感染によって死んだ歯髄と細菌を取り除いたうえで、歯髄炎同様に治療を行います。


歯内治療の専門医はこれらの治療を行うとき、ラバーダムと呼ばれる器具を治療する歯の側面に装着し、唾液などに混じった細菌が根管に入らないようにします。また、手術用顕微鏡も使用します。

「歯内治療は準備から終了まで1時間、長いと2時間近くかかり、数回の治療が必要なこともあります。患者さんにもそのことを知っておいていただきたいですね」。

歯に開けた小さな穴から神経を取る治療は簡単ではありません。根管は1本の歯に1本とは限らず、奥の歯ほど根管の数も増え、わん曲も大きいため、治療の難度が上がります。

「虫歯になると根管はさらに細くなることがありますし、年齢が上がるほど根管は細くなっています」。

CT検査で3次元で確認して処置しますが、わん曲、枝分かれなどで非常に複雑な形の根管からすべての細菌を取り除くことは“至難の業”と感じられる場合もあるとのことです。

また、いったん歯内治療が終わっても、その歯が虫歯になるリスクがあります。

「神経を抜いた歯はそうでない歯よりも虫歯や破折のリスクが高く、異常に気づかない患者さんもいます。神経は歯髄だけでなく、歯の周辺にもあるので、根管で再度細菌感染が起きたときには歯が浮くような感じがしたり、歯肉が腫れて痛んだりすることもあります」。

興地先生は、根管の再治療が近年増えていると感じるそうです。

「再治療はより難しくなります。とはいえ、自然治癒はせず、放置すると抜歯の可能性が高まります。多くの場合、急激に悪化するわけではないので大急ぎではありませんが、定期健診で見つかったときなど何らかのタイミングでの治療をおすすめします」。

なお、歯内治療には保険診療と自由診療の両方があり、医療機関で異なります。

「歯内治療は歯を残すための最後の砦」と興地先生。歯内治療に至る前に虫歯を予防すること、また早期に見つけて治療を検討することが一番です。かかりつけの歯科で歯石を取り、オーラルケアがきちんとできているかをチェックしてもらいましょう。

唾液の分泌量や口腔内細菌の種類や量を調べられる歯科健診もあります。興地先生は「年をとるにつれて虫歯に弱くなることを理解して、予防策を欠かさないようにしていただきたいですね」と強調します。



虫歯の主な治療法


●エナメル質のごく表面の虫歯(C0)であれば経過観察。

●エナメル質だけ、あるいは象牙質までの虫歯(C1かC2)は、虫歯とその周辺を削って詰め物をする。

●歯髄に達する虫歯(C3)は歯髄の神経を抜く治療(歯内治療)の後に土台を入れ、金属やセラミックの冠(クラウン)をかぶせる。

●抜歯(C4)になった場合にはブリッジ、義歯、インプラントを装着する(最奥部など部位によっては抜けたままにしておくこともある)。




虫歯の治療の専門医


●日本歯内療法学会専門医
URL:https://jea-endo.or.jp/doctors/specialst.html
(日本歯内療法学会には歯髄や根管の治療を専門とする歯科医が所属している)

●日本歯科保存学会
認定医・専門医一覧

URL:http://www.hozon.or.jp/list/
(歯科保存は、抜歯せず、歯を口の中に維持・保存して機能させていくことを目的とする分野で、日本歯科保存学会には虫歯、歯周病、歯内治療などを専門とする歯科医が所属している)

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イラスト/にれいさちこ 取材・文/小島あゆみ

『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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