驚きと感動の“美味逸品” 第25回(全29回) 料理は、言葉より雄弁にその国のことを物語ります。駐日大使公邸のおもてなしを拝見し、世界各国の料理をレストランで楽しみ、珍しいスパイスやハーブに出合える食材店を巡る――私たちの周りにたくさんある“日本の中の外国”へご案内します。
前回の記事はこちら>> トルコ「ブルガズ・アダ」(東京・麻布十番)
「黒毛和牛のキョフテ パプリカバターソース」とケキッキをまとった「ラムチョップのロースト」。ケキッキとはオレガノとタイムに似たハーブ。ビーツとヨーグルトのパンジャールソースをあしらって。トプカプ宮殿の宴に思いを馳せて
イスタンブール出身のメフメット・ディキメンさんは数少ないオスマン帝国宮廷料理の継承者。古文書などを通じて深く研究を続け、そこにご自身の感性と日本の上質な食材を織り交ぜながら、日々料理を進化させています。
メフメット・ディキメンさんと奥さまの裕子さん。お嬢さんもサービス担当で活躍中。日本に移住し、レストランを開いて25年。奥さまの裕子さんと二人三脚で洗練されたオスマン帝国の宮廷料理を伝えています。
「北はハンガリー、西はアフリカのアルジェリア、南はエジプトからイエメン、東はアジアのインドに及ぶなど、オスマン帝国の最盛期には三大陸にわたって領土を広げていました。それによってさまざまな地域・民族からもたらされた食材・文化が見事に融合し、独自の豊かな食文化が形成されました。その最高峰である宮廷料理は、手間暇を惜しまずかけた多彩で豪華なものだけでなく、皇帝(スルタン)の健康にも配慮した野菜たっぷりの料理であることも特徴です」とディキメンさん。
異国情緒溢れる空間でいただく、エレガントな宮廷料理は、しばし彼の地の宮殿での宴へと誘ってくれます。
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。 Information
ブルガズ・アダ
東京都港区麻布十番3-7-4 麻布六堂 3階
撮影/大泉省吾
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。