きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。あれから幾たびも季節は移ろい、今度は自分の子どもたちがサンタクロースを待ち焦がれる時がやって来た。私はなんとか、子どもの頃にアメリカのホームステイ先で味わった、忘れ難いクリスマスの雛形を元に、少しでも華やぐこの特別な季節を演出しようと模索した。それは、どこかで「母のそれとは違う」ということが、自分の密かな原動力になっていたに違いない。
ハートのサングラスが茶目っ気たっぷりな、ご自宅でのワンショット。奥に飾られているクリスマスツリーは、エッセイでも語られている、解禁日を待って買い求めたというもみの木。年々ひとつずつ増えていく彼の国で求めたオーナメントが、思い出を積み重ねてきた家族の面影を映します。北米から輸入されるもみの木を花屋の長蛇の列に並んで買ってきたり、ツリーを飾るオーナメントは、旅先で毎年ひとつずつ求めたり、それらを子どもたち中心にデコレートする習わしにした。もちろん、家族間で交換するプレゼントはにぎやかにラッピングし、ツリーの根元にこんもりと置き、ディナーは、子どもたちも一緒にテーブルセッティングやメニューを考え、いつもの素っ気ない食卓とはひと味違うムードを作った。
そして、いよいよクリスマスの朝、サンタから届いた念願のプレゼントに歓声をあげる子どもたちに、私は頰をゆるめるのだ。そもそもクリスチャンでもない自分が、まるで幼少期に味わえなかった温かい家族の団欒に、ひとえに近づくために……。
きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。