青空の下で輝く赤い宝石 人々を魅了する新品種ぶどう「クイーンルージュ®」
みっしりとついた大粒の実。ルビーのように赤いぶどうが、木漏れ日にきらきらと輝いています。10月中旬、収穫シーズンが続く長野県小布施町で最盛期を迎えていたのは、市場に本格デビューして間もないニューフェイス「クイーンルージュ®」です。
長野県のぶどうの中でも、比較的遅い時期に収穫される「クイーンルージュ®」。露地物は9月下旬から収穫が始まり、10月下旬までが旬。1房に、35粒前後の大粒な実がみっしりと。お伺いした畑の生産者の方が「食べてみますか」とぶどうの房から、1粒をチョキン。つややかなぶどうを口に入れると……弾けるようなジューシー感、ぐんと力強く広がる甘み。そして皮がまるでないようにつるっといただける心地よさにびっくりします。
果物だけどスイーツ? まさに「クイーン」、こんなぶどうがあったとは!
「おいしいでしょう! 濃い甘さだけど、すっきりしていて。ほのかにマスカットの香りも感じられますよね」と生産者の方もにっこり。
緑系の「シャインマスカット」、黒系の「ナガノパープル」に続いて、種がなく皮ごと食べられる「赤系」のぶどうを、と長野県が開発した「クイーンルージュ®」。
今や長野県のぶどうを代表するといっても過言ではない、シャインマスカット(左)とナガノパープル(右)。どちらも種がなく、皮ごと食べられる大粒品種。市場に本格デビュー間もないということで、生産者の試行錯誤はまだまだ続いています。
「皮が薄いから、雨で粒が割れやすいし、着色管理も難しい。なかなか手ごわいお姫様ではあるんです。でも食べた人の9割以上が、今まで食べたぶどうの中で一番おいしいと言ってくださるので、手間をかけ、知恵を絞る甲斐もあるというものです。たくさんの方に召し上がっていただけたら嬉しいですね」と語る生産者の方。
訪れたぶどう畑では、ぶどうの枝を1m70cm前後に広く這わせるような「棚仕立て」が行われています。畑に入ると、天井一面に葉と枝が広がっているかのよう。これには、摘粒や袋がけなど日々の作業が行いやすいだけではなく、枝や葉全体にできるだけ日光が当たるように、との理由もあります。
訪れた小布施のぶどう畑。10月中旬、シャインマスカットの収穫が一段落し、「クイーンルージュ®」がまさに収穫の時を待つ。道を挟んだ向こうはりんご農園、とまさにフルーツ王国を感じさせる立地。「陽当たり」はぶどうを育成する上でも、大切な条件のひとつ。昼夜の寒暖差が大きい内陸性の気候、全国平均より少ない降水量に水はけのよい土壌、そして長い日照時間という長野のテロワールは、まさにぶどう栽培にうってつけ。
明治中期からぶどう栽培が始められたともいわれ、現在では生食用ぶどうだけではなく、日本ワインの一大産地としても有名になりました。
夏から秋にかけての昼夜の寒暖差は、良質なぶどう作りに欠かせない条件。地域によって違う風土の特徴を生かし、生産される果実も変わる。新しい品種も次々と生まれ、以前ナガノパープルが登場した際は、そのまま食べられる濃厚な風味が大きな話題に。レストランのデザートやケーキに使われるなど、幅広く愛されるようになりました。そして長野県が満を持して開発した、赤ぶどうの女王ともいえる「クイーンルージュ®」のデビューに、熱い注目が集まります。
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