滋賀県大津市の丘陵地を開墾した里山に本社を構える「叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)」。「寿長生(すない)の郷(さと)」と名付けられた6万3000坪の敷地内では原料となる作物を育てる農業も営まれ、菓子作りの原点は“農”にあるという理念のもとに日々和菓子が作られています。
収穫量は全国のあずきのわずか1%という丹波大納言あずきの栽培風景。丹波大納言あずきのつぶ餡と求肥を組み合わせた代表銘菓「あも」の発売50周年となる昨年新登場した「あも こしあん」は、そんな“農工ひとつ”の思想を宿したお菓子です。
手前は「あも こしあん」、奥は半世紀以上愛されてきた定番の「あも」。ともに1本1296円。誕生のきっかけはコロナ禍によりあずきが過剰在庫となったことでした。そこで形崩れや傷などではじかれた丹波大納言あずきを有効活用できる、こし餡を使う商品を開発。
銅釜で丁寧に炊き上げた餡のなめらかな口当たりと豊かな風味が溶け合う、新たな魅力を持つ棹菓子を作り上げたのです。
熟練の職人による手作業で選別。希少な在来種のあずきの価値を最大限に生かすことで、生産者や業者を守り、ひいてはあずきを守っていきたい。「あも こしあん」には、そんな想いが込められています。
贈り物にも最適な「あも歌留多詰合せ」3942円。 わがやの食卓をもっと豊かに 美味のお取り寄せ 2023年冬
表示価格はすべて税込みです。 撮影/本誌・西山 航 スタイリング/梶井明美 取材・文/鈴木博美
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。