365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> スノードロップ
長野県のガーデンの2月中旬、雪の中から咲き出すスノードロップを見て「雪の滴」という花名のふさわしさを実感しました。■属科・タイプ:ヒガンバナ科の秋植え球根
■花期:1月〜3月
■草丈:5〜30cm
雪の滴のように美しい白花に心が洗われます
スノードロップの花期を調べると、2月〜3月とされていることが多いのですが、温暖地ではもう少し早くから咲き出している印象があります。神奈川県のお寺の庭では年末から咲いているのを目にし、また東京郊外の観光ガーデンを1月上旬に訪ねた際にも、すでに咲いていました。その土地の気候環境によるものだと思いますが、花の見頃を逃さないように早めに紹介しておきます。
長野県の観光ガーデンで、オーナーさんからスノードロップの話を聞いたことがあります。ガーデンがまだ雪で覆われている2月中旬、よく晴れた日に日だまりを探してみると、溶け出した雪のすき間からからスノードロップが顔を出しているのを見つけることがあるそうです。白い花弁から溶けた雪が滴になって落ちるさまを目にすると、スノードロップ=雪の滴とは最高に素敵な命名、としみじみ感じるのだそうです。
日本で活躍しているスコットランド人のガーデンデザイナーにすすめられ、3年前にスコットランドにある「カンボ カントリーハウス&エステート」のウォールガーデンを訪ねました。初夏の宿根草がすばらしいガーデンに感動しましたが、ぜひもう一度、早春にそこを訪ねたいと思いました。
そこのウッドランドにはなんと350種以上のスノードロップが咲くのだそうです。イギリスではスノードロップの品種改良が盛んで、さまざまな原種系の他、大きな八重咲きの品種や黄花の品種も咲きます。ここまでのコレクションは世界でも珍しいのだそうです。併設のショップにはスノードロップをモチーフにしたグッズが種類豊富に並べられ、それを見ているだけで胸がときめきました。
日本でもイギリスでも、スノードロップは春の到来が確実に近づいていることを知らせてくれる花として、多くの人に愛されています。
日だまりで雪が溶けた箇所から顔をのぞかせるように咲き出します。スノードロップは耐寒性が強い花。栽培の難易度
よく出回っているのはガランサス・エルウェシーで、球根が大きめで休眠期の乾燥にも強く、育てやすい品種です。球根の植えつけ適期は9月〜10月。落葉樹の下など夏は木陰になり、秋以降はよく日が当たる場所が適しています。植えつけ前に元肥を施し、球根3個分の深さに植えつけます。植えつけ時にたっぷり水やりしたら、その後はからからに乾いたときのみ水やりします。追肥の必要はありません。花が咲き終わったら花茎の根元でカットし、葉は自然に枯れるまでそのままにしておきます。初夏〜秋までは休眠期間ですが、夏に土壌がひどく乾いていたら水やりをします。植えっぱなしで数年花を楽しめます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。