365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> グレビレア
花柱がこんなに長く伸びます。これは‘ココナッツアイス’という品種で、花色も葉色も優しい印象。■属科・タイプ:ヤマモガシ科の常緑低木
■花期:通年
見ていて飽きないおもしろい花が冬でも咲いています
ギョリュウバイに続き、冬の間も花を楽しめるオージープランツをもう1種紹介します。
私が花散歩でよく訪ねる大きな公園に、数年前からしゃれた雰囲気のボーダー花壇ができました。カフェの前という目をひく場所にあるため、なんだか変わった植物が植えられていると、散歩仲間の間ですぐに話題になりました。
見に行ってみると、なんとそこには数種類のオージープランツをバランスよく取り入れた植栽ができていました。
オーストラリア原産(一部ニュージーランドを含む)の植物をオージープランツと呼び、個性的な姿や管理のしやすさから最近注目を浴びていますが、すでにそれを利用した植栽が近所にできていたことに驚きました。一年を通してオージープランツの様子を観察できるのがうれしくて頻繁に訪ねていますが、この時期にはグレビレアがとても個性的な花を咲かせています。
グレビレアは主にオーストラリア南西部の乾燥したエリアに自生する常緑低木で、現地では高木に育つこともありますが、日本の温暖地では樹高2mくらいでとまります。長い花柱が何本も飛び出す花が集まって10〜15cmほどの花穂になる姿は思わず笑ってしまうくらいユニーク。いつまで見ていても飽きない不思議な魅力のある花です。
このおもしろい花が一年を通して咲くというのが優れたところで、花の少ない冬季には鮮やかで暖かみのある花色がとりわけ魅力的に感じられます。
よく出回っているグレビレアには‘ココナッツアイス’と‘ロビンゴードン’の2つの園芸品種があります。じつは同じ両親から交配されたので、見分けが難しいくらいよく似ています。花色が濃いサーモンピンクで、葉がやわらかな印象なのが‘ココナッツアイス’、花色が鮮烈な赤で葉が少し堅そうに見えるのが‘ロビンゴードン’です。
鮮烈な赤花が美しい‘ロビンゴードン’。花柱があちこち向くので、動きのある表情なのも楽しい!比較的丈夫で育てやすく、最近では個人邸の外周りの植栽にも利用されるようになっています。散歩道で見かけたらユニークな花をアップで観察してみてください。
栽培の難易度
耐寒性はあるものの、温暖な気候を好みます。日照が不足すると葉色が褪せ、花つきも悪くなるので、日当たりのよい場所を選びます。植えつけ時に元肥を加えれば、追肥の必要はありません。翌年以降は春か秋に緩効性肥料を施します。乾燥ぎみの環境でよく育つので、地植えの場合は水やりの必要はありません。剪定は樹形が乱れたと感じたときに行います。枯れた枝や長く伸びすぎた枝をカットする程度でかまいません。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。