365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> エラチオールベゴニア
八重咲きのエラチオールベゴニアはボリューム感もたっぷり。これは植物園の温室で見かけた、摘み取った花を水鉢に浮かべたディスプレー。くすみのない鮮やかな花色がとてもきれい!■属科・タイプ:シュウカイドウ科の宿根草
■花期:9月中旬〜翌年6月下旬
■草丈:40〜50cm
八重咲きがどんどん進化して、バラにも劣らぬ華やかさ!
外の植栽に花が少ないこの時期、通りがかりのお宅の室内の窓辺に鮮やかな花色を見つけることがよくあります。冬には室内で楽しめる鉢花が多くあるのですが、そんな花を見たいときにおすすめの場所があります。
それは、ショッピングセンターなど大型の商業施設です。ディスプレーとしていろいろな種類の鉢花がよく利用されているのです。もちろん温室のある植物園に行けば確実に出会えますが、近くのショッピングセンターのほうが手軽に出かけられると思います。今回から4回続けて、室内で楽しめる人気の鉢花を紹介します。
今回ご紹介するのは、鉢花の中でもとくに花色が豊富で華やかなエラチオールベゴニアです。
花弁の縁に細かいフリンジの入った‘ルネッサンス・プットNEO’。今までのイメージを一新するような繊細でふんわりした花形に驚きました。「ジャパンフラワーセレクション2017-2018」で「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2017(最優秀賞)」を受賞した品種です。写真/PIXTAベゴニアには多くの種類があり、ベゴニア・ソコトラナムと球根ベコニアを交配して生み出されたのがエラチオールベゴニアです。茎が立ち上がって花が咲くので、ラテン語で背が高いという意味のエラチオールという名前がつけられました。
同じく華やかな種類がたくさんあるリーガーズベゴニアもエラチオールベゴニアからさらに育種されたもので、それも含めるととても豊富な品種群となります。
エラチオールベゴニアは四季咲き性で、真夏以外は花が咲き、とくに秋〜冬にかけて開花するため、冬咲きベゴニアとも呼ばれています。最近では八重化がどんどん進み、花のサイズも大きくなり、バラと見間違えるようなボリューム感のある花の華やかさは驚くほどです。
耐寒性が弱く、冬は暖かな室内での栽培が基本ですが、室内に明るく優雅な花色があるのはうれしいもの。ショッピングセンターなどでお気に入りを見かけたら、ぜひ鉢花を購入して育ててみてください。
栽培の難易度
冬の間も10℃以上をキープできる室内環境が適しています。レースなど薄手のカーテン越しに日差しが差し込む窓辺などで管理するのがおすすめです。真夏を除くほぼ一年中、鉢花が出回ります。そのまま鉢カバーに入れて育てても、また、鉢に植え替えて育ててもかまいません。表土が乾いたらたっぷりと水やりしますが、花や葉にかからないよう、株元に注ぐのがポイント。1か月に1回程度、薄めに希釈した液肥を与えると花つきがよくなります。咲き終わった花がらは随時摘み取り、黄色くなった葉も取り除きます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。