365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> カランコエ
イングランドの花屋さんでもカランコエの鉢を売っていました。赤、オレンジ色、ピンク、どれも小さいながら八重咲きの花が咲いていました。1ポット=6ポンドで、2ポットなら10ポンド。イングランドでも複数買うとお買い得になるのですね。■属科・タイプ:ベンケイソウ科の宿根草
■花期:1月〜5月
■草丈:10〜50cm
八重咲き、ベル型と新しいタイプも大人気!
室内で楽しめる人気の鉢花、第2回はカロンコエを紹介します。
年末に神奈川県の観光ガーデンを訪ねた際に、カランコエのポットがたくさんトレイに並んでいるのを見かけ、どこに植えるのか気になって尋ねたところ、「近くのショッピングーセンターのディスプレーも担当していて、年明け前に植え替えをするんです」とのこと。冬の花散歩コースにぜひショッピングセンターも加えてくださいね。
カロンコエには葉を楽しむ多肉植物の種類もありますが、ここでご紹介するのはビビッドでかわいらしい花を楽しむ種類です。
花を楽しむカランコエも葉茎は多肉質で、乾燥ぎみに管理するため、水やりの手間が少なくてすみます。それも商業施設のディスプレーでよく利用される理由ではないかと思います。花色が豊富で花期が長く、冬の間中楽しめるのはとても魅力だと思います。
カランコエといえば、4枚の花弁がパッと開いた小さな花を思い浮かべますが、最近では新しい花形も続々と登場しています。スマートなベル型の大きな花を咲かせる‘ウェンディ’はとても個性的で、初めて見たときにはそれがカランコエだとは思いませんでした。オランダの大学で育種された品種で、花つきがとてもよく人気品種になっています。
長いベル型の大きな花がたくさん咲く‘ウェンディ’は、オランダ東部のヘルダーラント州にあるワーゲニンゲン大学(Wageningen University & Research)で、カランコエ・ミニアータと他の野生種の交雑により生み出された品種。この大学の前身は農業学校で、現在でも農業、食品科学、ライフサイエンスなどの分野で世界をリードしていることで知られ、教育機関としてだけでなく、研究機関としての役割も担っているそう。さらに、カランコエにも八重咲きの品種が登場。初めは「これはベコニアかしら?」と思ったくらい、一重の清楚な花とは異なる花姿に驚きました。
園芸品種として出回る多くは、マダガスカル原産のプロスフェルディアナをもとに育種されたもので、耐寒性は弱いものの、耐暑性が強いのが特徴です。開花調整した苗がほぼ一年中出回っているので、夏の間は庭に地植えして花を咲かせることもできます。
栽培の難易度
冬の間に花を咲かせるので、日本では鉢植えにして室内で育てるのが基本です。レースなど薄いカーテン越しに日差しが当たる窓辺などで管理します。花後は戸外の雨に当たらない場所に移動して夏越しさせます。日が短くなると花芽をつけるので、温暖地では11月上旬に室内に取り込みます。水やりは控えめにし、乾燥ぎみに管理するのがポイントです。施肥もそれほど必要としませんが、花期を迎える前の11月〜12月に緩効性肥料を与えると花つきがよくなります。咲き終わった花がらや黄色くなった下葉は、随時取り除くようにして、株の中が蒸れないようにします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。