365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> シャコバサボテン
シャコバサボテンといえば鮮やかなピンクが定番。これは花弁の中心に白が入る‘カミーラ’という品種。(写真提供/PIXTA)■属科・タイプ:サボテン科の宿根草
■花期:11月〜翌年3月
■草丈:15〜30cm
デンマークで育種された品種がたくさん出回ります
室内で楽しむ人気の鉢花、今回は定番人気のシャコバサボテンを紹介します。
子どもの頃、友達の家に遊びに行くとリビングなどでよくシャコバサボテンを見かけた記憶があります。当時はちょっとしたブームになるほど人気の室内花で、鮮やかなピンクの花に新鮮な印象を抱きました。その後すっかり室内花の定番としての地位を築き、今でもとても人気があります。
埼玉県でシャコバサボテンを栽培している生産者さんを訪ねたときに、変わらぬ人気の理由を伺ったところ、冬の室内花はシクラメンのように一冬で終わるものが多いなか、シャコバサボテンは上手に管理すると数年は花を咲かせてくれるのが大きな魅力なのだそうです。また、挿し芽で増やしていく楽しみもあり、男性にもファンが多いそうです。
シャコバサボテンはブラジル南東部が原産ですが、なぜかデンマークカクタスという別名でも知られています。これはブラジル原産のシュルムベルゲラ・トルンカタを元にした育種がデンマークで盛んに行われたためで、現在、日本で出回っているのもデンマーク生まれの品種が多いそうです。
私が訪ねた生産者さんでもデンマークカクタスを15種近く栽培していました。子どもの頃に見た華やかなショッキングピンクの花色の印象が強いので、白やオレンジ色、赤紫などさまざまな花色が生まれていることにびっくり!
シャコバサボテンにはこんなに真っ赤な品種もあります。つややかな花弁が美しく、どこかエキゾチックな雰囲気も感じられます。(写真提供/PIXTA)シャコバサボテンはイギリスではクリスマスの時期に赤い花を咲かせることからクリスマスカクタスと呼ばれ、やはり冬の室内花としてとても人気があるそうです。冬にイギリスを訪ねたとき、あまりに早く日が落ちて暗くなることに驚いたので、シャコバサボテンの花色は暗さのなかで一段と華やかに見えるのだろうと思います。
同じくブラジル原産でシャコバサボテンによく似た花にイースターカクタスがありますが、これはイースター(復活祭)の頃に花がよく咲くことから名づけられています。
カクタス=サボテンで、乾かしぎみに管理するのが基本なので、水やりの手間が少なく、商業施設のディスプレーにもよく利用されています。鮮やかな花色と多肉質の茎葉ですぐにわかるので、出かけた際には探してみてください。
栽培の難易度
耐寒性が弱いので、鉢植えにし秋〜春まで室内で管理します。レースなど薄いカーテン越しに日差しが入る窓辺などに置きます。室内で管理している間は、乾燥ぎみに管理するのがポイント。用土がからからに乾いたら水やりする程度でかまいません。4月以降は屋外に出し、半日陰の場所で管理します。生育期の4月〜9月は、表土が乾いたらたっぷりと水やりします。ただし、梅雨時は過湿にならないように気をつけます。花後の4月に緩効性肥料を株元にまきます。秋以降に夜遅くまで明るい場所に置いておくと、花芽がつきにくくなるので、照明が届かない場所に置いてください。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。