365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
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ストレプトカーパスは花色も豊富にあります。淡い紫色は‘スピリット’、ブルーは‘ディナス’、白は‘マッセンホワイト’という品種。上手に育てると数年咲いてくれるので、インテリアに似合うテイストの鉢に植え替えて楽しむのがおすすめです。■属科・タイプ:イワタバコ科の宿根草
■花期:ほぼ通年
■草丈:10〜30cm
気品のある花が年間を通して咲きます
冬に楽しめる人気の室内花、4回目はストレプトカーパスです。ストレプトカーパスの花期は初夏〜秋とされますが、じつは環境が適していれば年間を通して愛らしい花が次々と咲きます。
栽培管理に少し気を使う必要があるので、ショッピングセンターなどのディスプレーに利用されることは少ないのですが、温室のある植物園に出かければ、この時期に出会える確率は高いと思います。
ストレプトカーパスには茎が立ち上がって葉をつけるタイプ(有茎種)と、茎が立たずに株元から直接葉が出るタイプ(無茎種)があります。有茎種と無茎種の間では交雑ができないため、種類の多い無茎種で品種改良が進みました。
それを元にヨーロッパやアメリカで盛んに育種が行われ、耐暑性の弱さも改善されて育てやすい性質になっています。今回はその園芸種を紹介します。
私がストレプトカーパスをぜひ紹介したいと思ったのは、花苗の生産者さんを訪ねたときに、細い茎の先に咲く花に気品を感じ、密に咲くのではなく、数輪が楚々と咲く株姿にエレガントな印象を受けて魅了されたためです。
淡い紫色だけと思っていたら、ブルーや白、黄色や赤の花色もあり、繊細な斑入りや八重咲き、フリル咲きなど花形にも変化があります。冬の間、室内で花を見るだけでなく、花を咲かせるために上手に管理していくことも楽しみの一つのような気がしました。
生産者さんに管理のポイントを伺うと、人間が快適と感じる環境で育てること、とのお返事。暑すぎず、寒すぎず、日差しも強すぎず、湿度もちょうどいい…。私もお気に入りの花色を一ついただいて育ててみましたが、年間を通して快適な空間を維持するのはなかなか難しく、3年ほどで枯らしてしまいました。今でもとても好きな花なので、ぜひリベンジしたいと思っています。
栽培の難易度
冷涼で適度に湿度のある森林などに自生する植物なので、暑さと強い日差しを苦手とします。鉢植えにし、室内のレースなど薄手のカーテン越しにやわらかな日差しが当たる風通しのよい場所で管理します。エアコンやファンヒーターの風が直接当たらないように気をつけます。表土が乾いたらたっぷりと水やりをし、適度な湿度を保ちます。月に1度くらい薄めに希釈した液肥を与えると花付きがよくなります。花がらや黄色くなった葉は随時摘み取り、株の中の風通しをよく保つようにします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。