365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> マーガレット‘ストロベリーホイップ’
個人邸の外周りの花壇で咲く‘ストロベリーホイップ’。こんなにたくさん花が咲いていますが、これで3株。この時点では20〜30cmの高さですが、マーガレットは常緑低木なので、年数がたつと茎が太くなって木質化し、樹高も50cmくらいまで伸びます。■属科・タイプ:キク科の低木
■花期:3月〜6月、10月〜12月 ※植えつけ初年度は冬の間も開花
赤、ピンク、白のミックス咲きにひと目惚れ!
花苗のカタログを見ていたとき、とても魅力的なマーガレットに目がとまりました。赤と濃淡ピンクと白が交じって咲いている!なんて華やかなんでしょう。‘ストロベリーホイップ’というかわいらしい品種名もすぐに覚えました。
昨年の春に散歩をしている途中、そのマーガレットが咲いているのを見つけました。それも3か所も!「やっぱり人気なんだわ」と納得しつつ、その様子をつぶさにチェックしました。
たしかに1株に赤、ピンク、白の花色が咲いていますが、じつはこの花色は変化しているのです。咲き出しは鮮やかな赤で、それが徐々に淡くなってピンクへ、そして最終的には白花になります。
ちょっと失礼して手で花を避けて株元ものぞいてみました。このボリューム感で何株植えているのかを知りたかったからです。ついでに土にも触り、湿り具合も確かめました。なぜ、細かく確認したかというと、この品種を私も育てたくなったから!
赤からピンク、白への変化が基本ですが、紫外線や温度の影響で、花色の変化の順番が変わることもあるそうです。どんな変化をするのか、それを観察するのも楽しみです。そして、昨年の秋、通販サイトでこの品種を予約。人気品種はすぐになくなるので、早めに予約しておくのがおすすめです。初冬には苗が届き、さっそく鉢に植えつけました。この時期の苗は開花調整され、蕾がたくさんついた状態なので、1月になっても花が次々と咲いてくれます。
この調子だと厳寒期も越え、春まで花が続きそうです。もちろん、2年目以降は春と秋というマーガレットの基本的な花期に戻りますが、このかわいらしい花色があるだけで、寒くてもベランダに出て花を楽しむ時間ができたことをとてもうれしく感じました。
花散歩は、道々に咲く花を眺めて楽しむだけでなく、お気に入りの植物を見つけるチャンスでもあると思います。実際に育ててみたい植物に出会うと、カタログに掲載されている内容の何倍もの情報を得ることができます。もし気になる花を見かけたら、ぜひチェックしてみてください。
栽培の難易度
日当たり、風通しのよい場所に植えつけます。植えつけ時に元肥を施し、花が咲いている間は1か月に1度くらい緩効性肥料を与えます。地植えの場合、水やりは雨まかせでかまいませんが、土壌がからからに乾いているときは、株元にたっぷり水やりします。高温多湿に弱いので、花が終わったら花茎の根元から切り取り、枯れた葉もこまめにカットして、株の中が蒸れないようにします。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。