365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> プリムラ・マラコイデス
近所の散歩で見かけたプリムラ・マラコイデス。冬の間から咲いていましたが、暖かくなってきたらこのボリュームに。木の根元を覆い隠すようにふんわりとたくさんの花が咲いていて、とても素敵な景色でした。マラコイデスは一年草ですが、毎年このシーンを見るので、苗を植えて継続しているのだと思います。■属科・タイプ:サクラソウ科の一年草
■花期:1月〜4月
■草丈:10〜50cm
優しいパステルカラーの登場でさらに魅力的に!
プリムラには多くの種類がありますが、草丈が高めで花がたくさん咲くふんわりした姿が魅力的なのが、マラコイデスです。中国の南西部にある雲南省は園芸家から花の宝庫といわれるほど、原種がたくさんあるエリアで、マラコイデスも雲南省が原産です。
オトメザクラというかわいらしい和名もあり、また、園芸店などではサクラソウとして売られていることもありますが、サクラソウとは本来は日本に自生するニホンサクラソウのことを指し、マラコイデスとは種類が異なるのでお間違えのないように。
他のプリムラと異なり、マラコイデスはそれほど花色は多くありません。濃淡ピンクが基本で他に紫と白があるくらいですが、個人的にはマラコイデスといえば濃淡ピンクがパッと思い浮かぶくらい印象深く、春らしさを感じさせる花色だと思ってきました。
なので、2011年くらいに登場した‘ウインティー’の少しライムがかったクリーム色の花を見たときには本当に驚きました。「なんて優しくて軽やかなんだろう!」と。マラコイデス=ピンクのイメージを一変させるくらいインパクトの大きな新色の登場に軽いショックを受けた覚えがあります。
‘ウインティー ライムグリーン’は、マラコイデスにおいて世界で初めての花色と、とても話題になりました。今では散歩道で見かけるほどポピュラーな品種になっています。寒さに強く、冬の間から花がよく咲きます。同時にマラコイデスは、これからまだ新しい花色が登場する可能性があるのかーとわくわくした気持ちになりました。現在では、‘ウインティー’には、ごく淡いサクラ色やピンク〜イエローグリーンのグラデーションも登場し、春の花との色合わせの幅がより広がっています。
マラコイデスは、近所を散歩しているだけで何度も見かけるくらい親しまれていますが、育てやすさもその理由の一つだと思います。この時期はまだ花が少ないのですが、春のあふれんばかりに咲く頃にまた見に来るね、と声をかけたくなります。
栽培の難易度
日当たり・風通しが共によい場所に植えます。植えつけ時に元肥を施し、開花期間中は2週間に1度くらい薄めに希釈した液肥を与えます。水やりは、地植えの場合は雨まかせでかまいません。鉢植えの場合は、表土が乾いたらたっぷりと水やりします。花がらや黄色くなった葉はこまめに摘み取ります。病害虫の被害が比較的少なく、育てやすい一年草です。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。