アンディ・ウォーホル 《自画像(髪が逆立ったかつら)》 1986年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 ⓒ The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc./Artists Rights Society (ARS), New York ポラロイド写真の複製 ポラカラーER1980年代、テレビコマーシャルで鮮烈な印象を残したアンディ・ウォーホルの大規模展覧会が開かれている。京都市京セラ美術館事業企画推進室の山田隆行さんに話を伺った。
「ウォーホルは、60年代初頭に台頭したポップ・アートの象徴的な存在です。消費社会や大衆文化と密接に結びつく日常的で見慣れたイメージや記号などを積極的にモチーフとして扱いました。加えて、シルクスクリーン印刷による複製技法を導入し、作品を機械的に量産しました。これは戦後資本主義社会における大量生産、大量消費のシステムを反映し、“作品の唯一性”という価値観を問い直すもので、後世へも多大な影響を与えています」
アンディ・ウォーホル 《三つのマリリン》 1962年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 © The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc./Artists Rights Society (ARS), New Yorkアンディ・ウォーホル 《キャンベル・スープI:トマト》 1968年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 ⓒ The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc./Artists Rights Society (ARS), New Yorkウォーホルと京都との関係は、どのようなものだったのだろうか。
「56年、世界一周旅行の最初の訪問先として日本を訪れ、京都にも滞在しました。初めての本格的な異国体験として京都は彼の記憶に残り続けたようで、それが74年の2度目の来京にも繫がったと思われます。」
アンディ・ウォーホル 《京都(清水寺)1956年7月25日》 1956年 アンディ・ウォーホル美術館蔵 ⓒ The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc./Artists Rights Society (ARS), New Yorkアンディ・ウォーホル 《孔雀》 1957年頃 アンディ・ウォーホル美術館蔵 ⓒ The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc./Artists Rights Society (ARS), New York「本展では、ウォーホルの京都での足跡を辿りながら、その際に制作したドローイングに加えて、“生け花”シリーズや葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》にならった作品など、日本を題材とした作品を展示しています」
同時に、時代の寵児として注目を浴びた彼の複雑な内面に焦点を当てた展示も。ウォーホル芸術を深く知るまたとない機会だ。
アンディ・ウォーホル・キョウト
京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」2023年2月12日まで
休館日:月曜(祝日の場合は開館)、2022年12月28日~2023年1月2日
開館時間:10時~18時
観覧料:平日一般2000円、土曜・日曜・祝日一般2200円ほか
TEL:075(771)4334
URL:
https://www.andywarholkyoto.jp 表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。