日本の絶景神社巡り 第6回(全19回) 心の平安と開運を祈願して、『古事記』ゆかりの神様に会いに行く、わが家に神様をお迎えする、という2つのアプローチで日本の神様と真摯に向き合います。
前回の記事はこちら>> 日向 高千穂に降臨した神様に会いに
高千穂に降臨した彦火瓊瓊杵尊(ひこほににぎのみこと)ゆかりの大御(おおみ)神社や海幸彦、山幸彦伝説の地である青島神社、彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)(山幸彦)の子を身ごもった豊玉姫命(とよたまひめのみこと)の産屋跡である鵜戸(うど)神宮など、『古事記』ゆかりの霊域に守られた地、宮崎。
大自然と神々が織り成す神話のふるさと、日向の三社(大御神社・鵜戸神社・青島神社)を訪ね、これからの人生を心豊かに生きるための英知をいただきます。※第6回では大御神社・鵜戸神社を紹介します。
伊勢ヶ浜の日向灘を見下ろす柱状岩の上に、海を背に建つ大御神社と、禰宜の新名昭彦さん。国登録有形文化財に指定されている社殿は、大自然の神秘が織り成す柱状岩の絶景と調和し、唯一無二の風格を漂わせる。「日向のお伊勢さま」と慕われる
大御(おおみ)神社・鵜戸神社(摂社)[宮崎県日向市]【開運招福】
「当社は古くは『脇の浜大神宮』、『日知屋神社』とも称されておりました。明治12年に大御という社名に改称され、この名は御祭神である天照大御神からいただいたものと言われております」と話すのは、大御神社の禰宜・新名昭彦さん。霊験あらたかな社には、貴重な古代遺跡が数多く残ります。
その一つが、2003年、境内地拡張の際に発見された日本最大級の「さざれ石」群。
国歌『君が代』にも登場するさざれ石群の前に立つ新名さん。さざれ石とは小石が長い歳月をかけて一つの大きな岩の塊になったもので、なかでも周囲30メートル、高さ4メートルある最も大きなさざれ石は、天照大御神の孫・彦火瓊瓊杵尊(ひこほににぎのみこと)が降臨した折、この上に立ち絶景の大海原を眺めたと伝えられる「神座(かみくら)」とされ、岩上は古代祭場だったことが判明。
また神座の手前には縄文時代の人々が龍神信仰をしていた古代遺跡「龍神の霊(たま)(玉)」が残り、さらに海に面した岩窟の摂社、鵜戸神社の最奥からは海に向けて見事な昇り龍を拝むことができます。
「ここでは拝礼の後、神座に触れてエネルギーをいただき、大海原を眺めて心を清め、鵜戸神社に参拝して、昇り龍に会う…。こうやって、ゆっくりと無になる時間をもってくだされば、それが開運への第一歩になります」。
古代の龍神信仰を裏づける「龍神の霊(玉)」。往時の人々は龍玉を守る龍神に祈りを捧げ幸せを願ったとされている。禰宜さんの開運ことば何事も「敬神崇祖(けいしんすうそ)(神を敬い先祖を崇める)」の精神で進めば、守護が得られます。真の八方塞がりはなく、小さな開きが必ずあるもの。考え方次第で、先の道は明るく広がります。(禰宜·新名昭彦さん)
毎年10月に2日間行われる「例大祭」は神社きっての盛大な祭事。初日夜の「宵祭り」には県内外から多くの人が集まるのが恒例だが、2022年は祝詞と天翔獅子舞(左上)のみと規模を縮小して開催された。(右上、下・大御神社)大御神社
【主な御祭神】天照大御神(あまてらすおおみかみ)
【御神徳】家内安全、開運招福
日向の国、高千穂に天降した天照大御神の孫・彦火瓊瓊杵尊が当地を通り、千畳敷の磐石(神座)から絶景の大海原を眺め、大御神を奉祀して平安を祈念したのが創始と伝わる。後世、この地に社を建てて天照大御神を勧請し、村中の鎮守として崇敬するようになったといわれている。
●宮崎県日向市日知屋1
TEL:0982(52)3406
「願かけ絵馬」初穂料500円。龍宮
白龍、天に昇る
岩窟奥の社のそばから入り口を振り返ると、左右の岩の間から天に昇る白龍の姿が奉拝できる。古代の掘削当時、夜には龍の目の位置に星が輝くように設計されていたという。古くから「鵜戸さま」と親しまれてきた鵜戸神社。高さ20メートル、幅8メートル、奥行き40メートルの岩窟の中に社が鎮座する。この岩窟は上部の石の隅々が尖っていることから人の手により掘り進められたものとみられ、古代人の龍神信仰を今に伝えている。
摂社、鵜戸神社があるのは、大御神社に隣接する切り立った岩場の奥。龍宮ともいわれる鵜戸神社は、岩窟そのものが霊域。鵜戸神社(龍宮)
【主な御祭神】鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)、彦火瓊瓊杵尊(ひこほににぎのみこと)、彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、塩筒大神(しおつちのおおかみ)
【御神徳】安産、航海安全、交通安全、厄難消除、事業繁栄
●宮崎県日向市伊勢道188
TEL:0982(52)3406
撮影/本誌・西山 航 取材・文/冨部志保子 ●特集内の表記、ふりがなは各神社、著者の指定に準じます。
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。