日本の絶景神社巡り 第10回（全19回） 心の平安と開運を祈願して､『古事記』ゆかりの神様に会いに行く､わが家に神様をお迎えする､という2つのアプローチで日本の神様と真摯に向き合います。
前回の記事はこちら＞＞ わが家をパワースポットに！神様をお迎えする開運習慣
神社参拝はもちろん、自宅に神棚を祀るなど、毎日の暮らしの中で神様とのご縁を結ぶために、今日からすぐ実践できることがあります。神職のかたに、正しい参拝方法とわが家でできるお清め方法を教えていただきました。
〈教わったかた〉 岸川雅範（神田神社禰宜）
神田神社江戸東京に鎮座して1300年近くの歴史をもつ。江戸時代には「江戸総鎮守」とされ、今もなお神田、日本橋、秋葉原、大手町、丸の内など108の東京の町の総氏神様として「明神さま」の名で親しまれている。●東京都千代田区外神田2-16-2
神田神社禰宜 岸川雅範さん昭和49年東京都生まれ。國學院大學大学院文学研究科神道学専攻博士課程後期修了、博士（神道学）。著書に『江戸天下祭の研究—近世近代における神田祭の持続と変容』（岩田書院）がある。神田の地域と密着した参拝ツアーなども考案。其の一
運を開く、神社参拝の「お祈り」の作法（後編）
前編はこちら>>Q 神社参拝に正しい「お祈り」の作法はありますか？A 参拝には2つの仕方があります。ひとつは賽銭箱の前で神様にお祈りをする「社頭参拝」。もうひとつはご社殿に入って参拝する「昇殿参拝」です。社頭参拝では、手水舎で清めた後、二礼二拍手一礼を行うのが一般的。しかし、この作法が広まったのは近代以降。自分が慣れ親しんできた土地のやり方で参拝されても構いません。昇殿参拝では、手水舎で清めた後、受付で専用の紙に祈願内容と住所・氏名を記し、初穂料を納め、社殿の中で神職に祈禱してもらいます。
Q お祈りは具体的に、どのようにするのがよいでしょうか？A 祈りの原点は「何事もないように」と願うこと。祝詞にも、悪いことが起こらないようにという言葉が盛り込まれています。『古事記』や『日本書紀』にも出てきますが、日本の神様は「祟り」と「恵み」の両方をもっています。祟りとは天変地異を意味します。「雷」は代表格で、その語源は「神鳴り」。神が鳴らせたもの、神の怒りであると考えられました。
そのため、神社参拝では今日の無事に感謝をするとともに、個人的なお願い事をするのがよいでしょう。神田神社は全国から参拝者があるので、特別な決まりは設けておりません。形式よりも、神道の基本である「浄明正直（清く、明るく、素直な心）」で、神様と向き合うことこそが大切だからです。
Q 神社のガイドブックで祝詞をあげるとよいと記したものが見られます。神職でなくてもあげてよいのでしょうか？ おすすめの言葉はありますか？A 祝詞はどなたでもあげられます。短く、あげやすいのは、略祓詞（りゃくはらえのことば）と呼ばれる祝詞で、「祓え給い、清め給え」の二言です。「守り給い、幸（さきわ）え給え」の言葉を添えるのもいいでしょう。長い祝詞をあげる際は拝殿前でなく、少し離れた場所で心ゆくまであげるようにしてみてください。他の参拝者のかたへの配慮もお忘れなく。
撮影／本誌・坂本正行 取材・文／小倉理加 ●特集内の表記、ふりがなは各神社、著者の指定に準じます。
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
