ジャケット10万5600円 シャツ7万3700円／ともにアミ パリス（アミ パリス ジャパン）野球で培った体力と精神を撮影現場で生かして
林 大河ドラマでは、もう合戦のシーンは撮影されましたか？ 山田さんは野球もやっていらしたし運動神経もよいでしょうからアクションに苦労はないですか？
山田 体だけは動くほうかもしれません。アクション監督が、僕が出演した映画『東京リベンジャーズ』でもご一緒したかたで、決まりの型のとおりを稽古するというより自由に演じさせてもらっています。
林 私は『西郷（せご）どん』の原作を手がけたご縁で少しは現場のことも知っていますが、大河ドラマは動くお金もけた違い。かかわるスタッフの数も多いし、何より出演者も豪華です。大先輩との共演は緊張しますか？
山田 ご一緒するのが年上だからとか年下だからというのは、あまり気にしないようにしています。ただ先輩に緊張するというより視聴者や観客に何かを伝えなければならない重要なシーンに緊張することはあります。僕の役は家康の家臣団の中で最年少。13歳の初陣から演じていて、その頃は大森南朋さんや松重 豊さんも20代という設定だったのです。皆さん特に若づくりはしないで自然に演じていらっしゃったので、そんな中で自分が浮いていないかは考えました。
林 貴重な経験ですね。
「厳しい戦乱の世の武将を山田さんがどう演じるのか期待しています」（林さん）
この日の林さんのきものは鉄黒地に肩から袖、裾模様に流れるように松竹梅をあしらった訪問着。「何年か前に初釜用に『ゑり善』で誂えました」。新春の対談にふさわしく華やかな北村武資作の金銀の帯を合わせて。戦国の武士の生きざまを現代の視聴者に伝える
山田 ところで、僕からも林先生に伺いたいことがあるのですが。本を書くってどういう感覚ですか？ ご自分の体験がもとになるのでしょうか？
林 物書きの最初は自分の体験からという部分もありますが、そのうちに資料を調べたり、舞台となる場所に足を運んだり……。
山田 ちゃんと現地まで行かれるんですね！ 俳優さんにも演じる役をとことんまで調べるかたがいます。
林 『西郷どん』を書いている時も、鹿児島まで何度も通いました。山田さんは本はお好きですか？
山田 歴史の物語は好きですね。
林 どんな時代のどんな人物に惹かれますか？
山田 好きなのは戦国時代ですが、信長や秀吉といった有名な武将よりも、いつか演じてみたいのは忍者なんです。北条家に仕えた風魔小太郎のように、本当のところがよくわからない人物に惹かれます。
林 戦国時代の物語は殺したり裏切ったりする場面が多いので、実は私は今までちょっと苦手だったのです。
山田 今回の大河ドラマでは、今のところ悲惨な展開はなくて、『どうする家康』というタイトルのとおり、松本潤さん演じる家康が悩みながら成長していく様子が描かれています。でも林先生のおっしゃるとおり、実際の戦国時代の人たちは一日一日が生きるか死ぬかだったのだと思います。
林 山田さんが演じられる本多忠勝は幼い頃から家康に仕えた歴戦歴勝の武士なのでしょう？
山田 生涯に57回戦って、かすり傷一つ負わなかったという男です。ドラマを通して死ぬことと生きることの裏表を見せていきたいと思っています。
後編へ続く
〔関連記事〕2022年の新春対談 林 真理子さん×鈴木亮平さん>>撮影／鍋島徳恭 スタイリング／森田晃嘉（山田さん） ヘア＆メイク／板谷裕實〈ITAYA〉（林さん） 小林純子（山田さん） 着付け／伊藤和子（林さん） 取材・文／清水井朋子 撮影協力／ホテルニューオータニ（東京）
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
