与えられた運命を生きる〈後編〉 2022年に日本大学の理事長に就任、作家とは全く異なる分野での今後の動向にも期待が集まっている林 真理子さん。家庭画報の新年恒例の企画となっている対談の今回のお相手は、2022年エランドール賞新人賞受賞、2023年はNHK大河ドラマ『どうする家康』やフジテレビ月9ドラマへの出演をはじめ、ますますの活躍が期待される俳優の山田裕貴さんです。仕事に対する姿勢からプライベートまで熱い思いを語っていただきました。 ・
前編はこちらから>> かつて『西郷どん』の原作者として大河ドラマにかかわった経験をお持ちの林さんだけに、質問は撮影現場の細かいディテールにも。それに対し山田さんは「朝ドラや大河ドラマだからと特別扱いはしません。それ以外の作品に対して失礼でもあるので」と前置きしつつも、共演のかたがたとの貴重なエピソードなどを披露。「“人の心を考える仕事”は僕の使命かも。そう思うことがあります」(山田さん)
「何を着ても本当に格好いい! お洒落ですね」という林さんに「スタイリストさんに用意していただいたものを着ているだけなんです。普段着は無頓着です」と山田さん。林 お話を伺っていると山田さんは役に対してとてもストイックですね。
山田 小さい頃から心理学や哲学の分野がとても好きでした。スポーツなどでは持って生まれた能力の差で勝敗が決まることはありますが、どこの世界も心には差はないので。俳優という“人の心を考える仕事”は僕の使命なのかもしれないと思うことがあります。
林 大河ドラマの本多忠勝はどんな人物として演じたいですか。
山田 これまでに本多忠勝を演じてこられた役者さんは体格もよく男らしいかたが多いんです。でも岡崎城の記念館でお話を伺ったところ、実際の忠勝はシュッとしていて、今残っている肖像画は強そうに見えるように8回くらい描き直したものだそうで。歴史って語り継がれていきますが、本物を見た人はいないわけで……。
林 既成概念にとらわれる必要はありませんね。
山田 そもそも僕、人の噂とかネットのニュースとかに興味がなくて、自分の見たもの感じたことしか信じないタイプなので、自分が思う忠勝の人生を追体験しながら残していくことができればいいなと思っています。
林 大河ドラマに月9に、その先の主演作までが決まっていて、毎日お忙しいですね。今日も夜はラジオの生放送があるとか。息抜きはどのようにしているのですか?
山田 息抜きは、しないです。
林 お酒は?
山田 お酒は飲みますが、人に会うと甘えてしまうので控えています。先生は、どのように息抜きされていらっしゃいますか?
林 お友達とおいしいものを食べることでしょうか。お誘いが多いのは嬉しいのですが、食べると血糖値が上がってしまうので、楽しみとストレスが直結していて困ります。それにしてもお忙しいのに息抜きもされないのでしたら、山田さんこそストレスが溜まるでしょう?
山田 ありがたいことに何本も撮影をかけ持ちすることが多くて、覚えなければならない台本がいつも家に20冊くらいあるんです。家に戻って台本を開くかゲームのコントローラーを手に取るか迷う時もありますが、台本を覚えないと追いつけなくて。