ココ・シャネルやマリア・カラスなど、稀代の才能に愛されたシャンパーニュが「クリュッグ」です。メゾンは“音楽と味覚は共鳴する”という考えのもと、音楽とのペアリングプロジェクト「クリュッグエコー」をリリースするなど、革新的な試みを行ってきました。
坂本龍一氏。音楽家、プロデューサー。映画『ラストエンペラー』など映画音楽も多く手がけ、受賞多数。氏の前にあるシャンパーニュは左から、「クリュッグ クロ・デュ・メニル 2008」750ml 13万8600円、「クリュッグ 2008」同4万8510円、「クリュッグ グランド・キュヴェ 164 エディション」非売品。それぞれの個性が際立ち、深い味わい。 ここから新たに誕生したのが、世界的音楽家の坂本龍一氏が作曲した3楽章からなる組曲「Suite for Krug in 2008」です。これは、2008年収穫のぶどうで造られた3種のシャンパーニュを音楽に“翻訳”した特別なプログラム。
組曲はニューヨークのブルックリン美術館、ロンドンの古い劇場など、ユニークな場所でライブ演奏された。東京では寺田倉庫で開催。 第1楽章は、単一区画のシャルドネだけで造られた「クリュッグ クロ・デュ・メニル 2008」の純粋さを表したピアノ独奏、第2楽章は「クリュッグ 2008」の冷涼なヴィンテージの物語をバイオリンやチェロのアンサンブルが奏でます。第3楽章は、ブレンディングの妙味が生きる「クリュッグ グランド・キュヴェ 164 エディション」の複雑さと奥深さを表した壮麗なオーケストラ。
「クリュッグ」最高醸造責任者のジュリー・カヴィルさん。ぶどうを音符のように捉え、シャンパーニュ造りを行っている。坂本氏とはオンラインでミーティングを重ね、それぞれのシャンパーニュのヴィジョンについて確認し合った。坂本氏は、互いの職人的な価値観や創造への情熱に、共通項を見出したという。 「音楽は人々を結びつけることができると常に信じてきました。音楽の角度からシャンパーニュの創造の物語を発見するのは興味深かった」と坂本氏。心に響く美しい旋律は、シャンパーニュの新たな魅力を教えてくれます。
表示価格はすべて税込みです。 取材・文/安齋喜美子
『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。