閉経以降は大腸がん、肺がん、胃がんに気をつける
50代後半から60代にかけ、乳がんや子宮体がんと入れ替わるように急増してくるのが大腸がん、肺がん、胃がんです(下〔グラフ1〕参照)。
2019年のデータでは、これらのがんは女性がかかることの多いがんの2位から4位を占めており、閉経後の女性は特に気をつけたいがん種です。また、2020年のデータでは、大腸がんと肺がんは女性のがんの死亡原因の1位と2位でした(下〔表1〕参照)。
【日本人女性のがんの状況】
国立がん研究センター「がん情報サービス」の最新がん統計によると、2019年に新たにがんと診断された人は99万9075人で、うち女性は43万2607人。一方、2020年にがんで亡くなった人は37万8385人で、うち女性は15万7396人。がんにかかりやすい世代である高齢者数が増えているため、罹患者数・死亡者数ともに増加傾向が続いていますが、診断・治療の進歩により、多くのがんで生存率の上昇傾向が見られます。
●世代によって注意すべきがんは異なる
〔グラフ1〕年齢別部位別罹患率(女性)
いずれの図表も国立がん研究センター「がん情報サービス」の資料を参考に作成●女性がかかりやすいのは乳がんだが、比較的治りやすい
〔表1〕
「死亡原因の順位は、がんの治りやすさ、治りにくさを反映している面もあります。罹患者数がトップの乳がんは死亡者数では4位に下がり、かかりやすいけれど比較的治りやすいがんだといえます。一方、死亡者数の多い大腸がんや肺がんは、乳がんに比べて治りにくいがんだと考えられます。それゆえに罹患リスクが高まる40歳を過ぎたら乳がんや子宮がんはもちろんのこと、大腸がん、肺がん、胃がんも年1回、定期的に検診を受けることが大切です」と若尾先生はアドバイスします。
取材・文/渡辺千鶴 イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。