見ると幸せな気持ちでいっぱいに。ふっくらと愛らしいクロッカスの花

クロッカス

芝生の中の木の根元に咲くクロッカス。草丈10cm足らずのわりに花が大きくよく目立ちます。

■属科・タイプ：アヤメ科の秋植え球根
■花期：2月〜4月

■草丈：5〜10cm

ふっくらした花を見ると幸せな気持ちでいっぱいになります

暖かいエリアではもうクロッカスが咲き出していると思います。春に咲く球根の中でもスノードロップについで、開花が早いのがクロッカスです。

草丈が低いわりに花が大きいのが魅力ですが、私がとくに好きなのは、すっとスマートに閉じていた蕾が、日差しを浴びて徐々に膨らんでいく様子。ふっくらしたその姿を見ていると、心が幸福感で満たされていき、いつまでも観察していたくなります。

クロッカスには2月から咲き出す寒咲き種と3月に咲き出す春咲き種があり、どちらも園芸品種が豊富にあるので、これから3月末まで、散歩道でクロッカスに出会う機会もたくさんあると思います。

ちなみにクロッカスには秋咲き種もあり、その代表ともいえるのが、料理のスパイスとして、また、ご飯を黄色く染めるのに利用されるサフランです。学名はCrocus sativus＝クロッカス・サティウス。10月中旬〜12月上旬に花を咲かせるクロッカスの仲間であることを覚えておいてください。

さて、かなり以前のことですが、3月に渡英した際にイギリス王立のキューガーデン（Royal Botanic Gardens, Kew）を訪ねたことがあります。目的はもちろんその時期に咲くクロッカスです。鉢植えで咲かせたクロッカス、また地植えでも何株かが咲いている様子しか日本では見たことがなかったので、芝生のスペース一面を紫色や白で埋め尽くし、まるで美しい絨毯のように群生するクロッカスの景色を目の前にし、その美しさに感動しました。

秋に芝生を少しカットして球根を植えつけるのですが、クロッカスは植えっぱなしで翌年もまた咲くので、少しずつ植え足し、なんと現在では20万球以上が咲くのだそうです。最近では芝生をカットして植えつける手法が日本でも広まり、観光ガーデンでは一面クロッカスの景色を見られるところもあります。

アップで見るクロッカスのかわいらしさとはまた別の、クロッカスが生み出す壮大な景色を眺めに、遠出をしてみるのもおすすめです。


曇りのときには花の開き方はこれくらい。このときの花姿もとてもかわいらしい！　白い筋が入る細い葉もしゃれた印象です。

栽培の難易度

球根の植えつけ適期は10月〜11月。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えつけます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。また、植えつけ時にたっぷりと水やりすれば、その後は雨まかせでかまいません。ただし、鉢植えの場合は乾燥しすぎないよう、土が乾いたらたっぷりと水やりをします。花が終わったら摘み取り、葉は自然に枯れるまでそのままにしておきます。芝生の中に植えた場合は、そのまま夏季に休眠させますが、湿気が多い環境であれば、梅雨入り前に掘り上げて乾燥させ、秋に再び植えつけるのがおすすめです。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる