藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
記事一覧はこちら>> 1月の花「ラナンキュラス」(前編)
後編はこちら>>女の子のピアノ発表会のお祝いに、宮崎県の「JA高千穂」内にあるラナンキュラスの生産者グループ「あまてらすラナンキュラス」が生産した‘リナ’シリーズの中から‘リナ ベスティ’を選び、‘ポンポン ハーマイオニー’と合わせて華やかなブーケを制作しました。ほかにバラ‘ローズシノ’、スイートピー‘恋式部’を加え、金葉アカシアやルーカリをあしらいました。花屋を虜にする進化系ラナンキュラスが続々登場!
年明けから春の花がどんどん入荷し、花屋の店内は色彩にあふれています。新年初のご紹介には華やかできらびやかな花をと思い、これから3月にかけて出回りの最盛期を迎えるラナンキュラスを選びました。
かつて、ラナンキュラスは日もちが短く、切り花としてはあまり出回らなかったと聞いています。たしかに私が花屋になりたての頃にはあまり印象に残っていない気がします。ところがここ10年くらいで、ラナンキュラスはこの時期の主役といってもよいくらいの存在感を示す花に。私の場合、ラナンキュラスが出回り始めると、バラを使う量が減ります。それはバラに劣らぬ華やかさ、ボリューム感、そして魅力的な個性をもつラナンキュラスが豊富に入手できるからです。
ラナンキュラスの神様、「綾園芸」の草野修一さんが生み出した‘M’シリーズの逸品‘M ブルー’。気品のある見事な花色に心奪われます。ここまでラナンキュラスが存在感を増した背景には宮崎県中西部の綾町にある「綾園芸」さんの尽力があります。「綾園芸」さんは1990年からラナンキュラスをメインに育種・生産を続け、多くの魅力的な品種を生み出しています。宮崎県農業試験場との技術協力により、高千穂地区を中心に、宮崎県のオリジナル品種の開発にも力を入れてきました。その「綾園芸」さんが生み出した品種の一つが茎がスリムでまっすぐな‘M’シリーズです。この‘M’シリーズの登場で、ラナンキュラスは一気に人気花になったといっても過言ではないと思います。
さらに、花びらが縮れた個性的な花形とニュアンスのある花色が魅力の‘モロッコ’シリーズも「綾園芸」さんが生み出したもので、現在では‘リナ’シリーズという名前で高千穂地区オリジナルの品種として出回っています。
「これがラナンキュラス!?」と驚くような品種が続々登場しているので、この続きは明日またご紹介させていただきます。
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
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