花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患と深くかかわる「免疫力」。免疫とアレルギーの関連性、免疫力をアップするためのポイントを、免疫学の国際的権威でもある、医学博士・奥村康さんにお聞きします。(この記事は、発売中の『からだにいいこと』2023年2月号より一部抜粋・再編集しています)
教えてくれたのは
奥村康(おくむらこう)さん
医学博士。順天堂大学医学部免疫学特任教授。アトピー疾患研究センター長。免疫学の国際的権威であり、著書に『大丈夫! 何とかなります 免疫力は上げられる』(主婦の友社)他、多数。
免疫力のバランスを整えてアレルギーや不調を改善
花粉症などのアレルギーになる人とならない人の違い、それには免疫が深く関わっています。
「免疫力はウイルスや細菌などから体を守る以外にも、がん細胞を見つけて増殖を抑える働きも。ただ、不規則な生活やストレスなどによって免疫力のバランスが乱れると、本来反応しなくてもいいものに体が反応してしまい、アレルギーを発症します」と、医学博士の奥村康さん。
免疫とアレルギーは表裏一体
免疫システムの主役は血液中のリンパ球の一種である免疫細胞。体を守るだけではなく、バランス次第では体を攻撃してしまうことも。
NK細胞=警察官のように健康を害する敵を見張り、対処する。
B細胞・T細胞=強い力を持つ軍隊として抗体を作り、病原体や感染細胞を攻撃する。
花粉やダニ、食品などは本来、有害な異物ではありません。免疫力が下がるとこういったものに反応しやすくなるほか、さまざまな病気にかかるリスクが上がります。
「免疫力は自分で上げることが可能。生活習慣の見直しやセルフケアで自律神経や腸内環境は整います。体を守る免疫がきちんと機能すれば、病気や薬と無縁の生活に!」(奥村さん)。
【悪さをするアレルギー】
NK細胞の働きが弱ると、免疫力のバランスが崩れ、B細胞とT 細胞が花粉などに対して過剰に反応。ヒスタミンが放出され、アレルギーを発症してしまいます。
➡アレルギー疾患や不調を引き起こす
ストレスなどをきっかけに免疫力のバランスが崩れると、アレルギーの不快な症状を引き起こします。風邪を引きやすくなる、疲労感や頭痛があるなど、“なんとなく不調”にもつながります。
【体を守る免疫】
見回り役のNK 細胞が元気であれば、ウイルスやがん細胞を発見して退治できます。免疫力のバランスが正常に保たれ、B細胞とT細胞が暴走することもありません。
➡自己治癒力が高まり不調が改善
免疫力を強化すれば、免疫細胞の過剰な反応を防げて花粉症やアレルギー性皮膚炎などの症状を軽減できます。また、体が備え持つ回復力や、病気や不調を治す力も高まります。
免疫力アップのための3つのポイントとは?
1.自律神経を整える休息と活動のメリハリをつける、ストレスを減らすなどで自律神経が整えばNK 細胞が元気に。
2.腸を元気にする腸には免疫細胞が多く存在。腸内環境を整えることで、免疫力は自然とアップ。
3.血流を良くする血流を促進して体温を上げて。NK細胞は36.5℃以上で活動的になります。
『からだにいいこと』2023年2月号
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URL:
https://www.karakoto.com/ この記事は、『からだにいいこと』2023年2月号の内容を抜粋・再構成したものです。
監修/奥村康 イラスト/鈴木衣津子