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水はけがよくない場所に植えるなら? ふんわり軽やかな印象の「サンシュユ」

2023.02.19

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

サンシュユ


サンシュユ
小さな黄色の花がかたまりになって枝につくさまがとても愛らしい! 芽吹き前の枝につくので花色がよく目立ちます。

■属科・タイプ:ミズキ科の落葉中木
■花期:2月下旬〜4月

軽やかに飛んでいきそうな黄色の花のかたまりが愛らしい


早春に黄色の花を咲かせる花木のなかでも、とくに私が気に入っているのがサンシュユです。中国名の山茱萸=サンシュユがそのまま日本でも使われていますが、これに対し、日本の植物分類学の父と呼ばれる牧野富太郎博士は、春黄金花=ハルコガネバナの和名を提唱しました。

でも、サンシュユという言葉の響きが素敵なこともあってか、現在でもサンシュユの名前で親しまれています。

この時期の花木はまだ葉が芽吹いていない状態で花が咲くため、花色がよく目立ちます。とくにサンシュユは小さな花がボール状のかたまりになって咲くので、枝に黄色のかたまりがぽんぽんつくさまがとてもかわいらしい印象です。

以前に池のほとりにサンシュユが植わっている観光ガーデンをちょうど満開の時期に訪ねた際、ガーデナーさんが「ぽわんぽわんと飛んでいきそうでしょう」と話していたのをよく覚えています。

サンシュユの花には4本の長いおしべがあり、そのため花の輪郭が少しぼんやりするのですが、それを「ぽわんぽわん」と表現するのがとても素敵で、ガーデナーさんはよく花木を見ているのだなぁと感心しました。そのガーデナーさんによると、サンシュユは湿気のある土壌を好むので、水はけがあまりよくない場所に何か植えたいときにはおすすめだそうです。

サンシュユは自然にきれいな樹形にまとまるのも魅力で、剪定が簡単なのも庭木としてよく利用される理由だと思います。中国語の茱萸とはグミのことで、秋には直径2〜3cmの実が真っ赤に熟すことからアキサンゴの和名もあります。

漢方ではこの実が薬用として使われることから、江戸時代に中国から渡来した当初は、小石川御薬園(現在の小石川植物園)に植えられ、そこから広く普及したといわれています。最近では近縁種のセイヨウサンシュユも出回るようになり、それには斑入り葉が楽しめる園芸品種もあります。

サンシュユ
おしべが長いので、満開のときには花の輪郭が少しぼやけた感じに。それがぽわんと見える理由ではないかと思います。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

日当たりがよく、保水性のある土壌を好みます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。翌年以降は花が咲き出す前の1月に株元に緩効性肥料をまきます。植えつけ時にたっぷりと水やりし、以降は雨まかせでかまいませんが、土壌の乾燥が激しいときには水やりします。とくに幼木の間は水切れしないように気をつけます。自然にきれいな樹形にまとまるので、気がついたときに枯れ枝を取り除き、花後に長く伸びすぎた枝を切る程度の剪定でかまいません。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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