一気に景色が春めくビビッドな花色！ 咲き分け品種も魅力的な「ボケ」

ボケ

朱赤、淡いピンク、白の3色が同じ株に咲く咲き分けのボケ。この華やかさを目にすると、一気に春めいた気持ちになります。

■属科・タイプ：バラ科の落葉低木
■花期：3月〜4月

咲き分け品種の花色ミックスはため息ものの美しさ

早春に咲き出す花は黄色が多いせいか、ボケの朱赤や淡いピンクやサーモン色の花が咲き始めると新鮮な印象で、一気に景色が春めくように感じられます。一重咲き、八重咲きがありますが、どちらもふくよかで華やか。花ウメや花モモ、サクラとは異なるビビッドな花色がボケの魅力ですが、個人的には昔の長襦袢の色合いを連想して、レトロな雰囲気も感じています。

ボケには日本原産のクサボケ、中国原産のマボケ、ボケと3種類があり、日本で多く栽培されているのは中国産のボケです。古い時代に渡来はしていると想像されるものの、記録には残されていないそうで、大正時代になってから栽培が盛んになり、さまざまな園芸品種が生まれました。とくに大輪花の品種がたくさん生まれ、ボリューム感のある花が楽しめるようになりました。

近所にとても華やかで素敵なボケを咲かせているお宅があり、毎年、この時期に「もう咲き出したかな？」と何度も見に行くのですが、そのボケは朱赤と淡いサーモンピンク、白の3色の咲き分けで、ため息が出るくらい見事な美しさです。道行く人も立ち止まり、しばし眺めているのを見て、人の目を引きつけるボケの魅力を改めて感じました。

咲き分けというのは、同じ株から異なる色の花が咲くことで、ボケには魅力的な咲き分け品種が多くあります。ただ、咲き分けの場合、赤の花が優勢となる性質のため、花色のことを考えずに剪定で枝を落とすと、徐々に赤花ばかりが咲くようになります。

私が毎年楽しませていただいているボケは、3色がバランスよくミックスしているので、きっと剪定が上手なんだろうと感心しています。もし、咲き分けのボケを見かけたら、花色のバランスに注目するのもおもしろいですよ。ちなみにボケの幹には枝があるため、人や動物の侵入よけとして垣根に利用されることもよくあります。


垣根仕立てのボケは、花の時期にはこんなに華やかな景色に。一重咲きですが、ふっくらした花がかたまって咲くのでボリューム感があります。

栽培の難易度

耐寒性・耐暑性ともに強い性質です。日当たりがよく、乾燥しすぎない土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。翌年以降は1月〜2月に緩効性肥料を株元に施します。水やりは雨まかせでかまいませんが、土壌の乾燥が激しいときにはたっぷりと水をやります。枝がよく伸びるので、花後の5月に樹形を整える剪定を行います。さらに、落葉後に枯れ枝などを取り除き、伸びすぎた枝を切り落とします。

【難易度】
★　容易・初心者向け
★★　標準・初級〜中級者向け
★★★　少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★　難しい・上級者向け
★★★★★　栽培環境が限られる