中村隼人さんと中村橋之助さんが共演！ 3年ぶりとなる「新春浅草歌舞伎」

右：中村隼人さん　左：中村橋之助さん

3年ぶりとなる「新春浅草歌舞伎」は2部制で上演されるが、第1部の『双蝶々曲輪日記 引窓』で南与兵衛役の中村隼人さんと濡髪長五郎役の中村橋之助さんが共演する。まずは今回初役で勤める役への思いを語った。


「僕は（片岡）仁左衛門さんに教えていただきます。2021年7月の大阪松竹座でおじさんが与兵衛をなさったときに僕も出演させていただいたので間近で見ることができました。その経験が自分にとって大きいことでした。『引窓』は親子の愛情や人と人とのつながりがテーマとして描かれています。手取り足取り教えていただいた松嶋屋の型どおりにその感情を忘れずに演じたいと思います。橋之助君とはお互いにディスカッションしていい作品にできたらいいなと思います」と隼人さん。

橋之助さんは「僕は歌舞伎座のさよなら公演のときの（坂東）三津五郎のおじさまの与兵衛と父（中村芝翫）の濡髪の『引窓』がすごく印象に残っています。父の濡髪にお相撲さんだけではない大きさを感じて“そりやんしょう”とか濡髪の台詞を真似ていました。当時の僕は内容はわからなかったけれど、大人になってから面白さを知りました。僕も父から教わったことを大事になぞって演じたいです」と語る。



中村隼人
『番町皿屋敷』の青山播磨。2022年3月、南座　ⓒ松竹



中村橋之助
『番町皿屋敷』の青山播磨。2022年3月、南座　ⓒ松竹

さらに隼人さんは「『引窓』はこれまでの新春浅草歌舞伎で（中村）歌昇さんが播磨屋の型でなさったことがある演目なので“型”の違いを楽しんでいただけます。親子の情愛といった大切なことを思い出させてくれる物語の後には『男女道成寺』という華やかな歌舞伎の世界観でお正月気分を味わっていただきたいですね」と今回の見どころについて語り、橋之助さんも共感を示す。

そして「隼人君の言葉に僕なりに付け加えるならば、日本人なら誰しも理解できる感覚が詰まっているお芝居だと思います。そして1部と2部は完全に分かれていますが、8人は同じ方向に向かって役者としての熱い思いを胸に持っているので、それが伝わるといいなと思います」と本公演での使命感を言葉にしてくれた。