藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
記事一覧はこちら>> 1月の花「アネモネ」
パンダの通称で人気のアネモネ‘ミストラル ホワイトセンターブラック’に、ラナンキュラスやスカビオサ、ニゲラなど春の花をいっぱい加えたウエディングブーケ。優しさがあふれるパステルカラーを、パンダの黒い花心が程よく引き締めます。ふんわりと大きく開く花は思いがけないほど可憐
春の球根の中では開花が比較的早いアネモネ。切り花では11月から出回っていて、この時期には出始めには短かった茎もぐんと長くなり、ブーケも作りやすくなります。
アネモネといえばかつては‘デカーン’という品種がメインでした。この‘デカーン’、なんと19世紀にフランスで作出された品種で、かなり長い間愛されてきたことに驚きます。その後に‘モナリザ’が登場し、2014年頃に切り花としてさらに使いやすい‘ミストラル’シリーズが登場し、現在では主流になっています。‘ミストラル’シリーズは、茎が太くて長く、花がより大きいのが魅力です。
「フェリーチェ」さんから届いたアネモネ‘ミストラル’の3色。アネモネは蕾が必ず開くので、ブーケやアレンジを制作する際もこの状態のまま。開いたときを想像しながらスペースを確保していくのがポイント。お客さまの手元に届くタイミングで蕾が開き出します。そのため、花屋ではきれいに開いた状態の写真が撮れないのが少し残念…。この‘ミストラル’シリーズをクオリティ高く生産しているのが、愛媛県今治市の「フェリーチェ」さんで、出荷が始まると同時に仕入れ、最後の出荷までお世話になっています。
赤や紫などビビッドな花色はあくまでも鮮やかに、パステル系の花色はどこまでも淡く優しく、「フェリーチェ」さんが生産するアネモネは本当に美しく、しかもなかなか出回らない品種も「フェリーチェ」さんならあるかも、と思わせるほど種類豊富に作っていらっしゃいます。
「フェリーチェ」とはイタリア語で“幸せな”の意味ですが、たしかにその美しさ、クオリティの高さをまじまじと眺めていると、幸せな気持ちになります。
アネモネ‘ミストラル ホワイトセンターブラック’は花嫁さんにも大人気。この品種は生産時にごく淡くピンクがかることがあるそうで、市場では区別するためにホワイトセンターブラック ピンクとして分けられることもあります。淡いピンクもしゃれていてとても素敵です。さて、‘ミストラル’シリーズの中でもとくに個性的なのが、‘ミストラル ホワイトセンターブラック’です。品種名どおり、白い花びらで花心が黒というとてもしゃれた花色。欧米では白×黒の花色合わせからパンダと呼ばれる‘マリアンヌ パンダ’というアネモネが大人気ですが、日本でもこの‘ミストラル’のパンダが生産されるようになったのは、とても喜ばしいことです。
最近ではお客さまから「パンダのアネモネを〜」というご指名をいただくことも多く、ウエディングブーケで花嫁さんたちから熱い支持を集めています。たしかに、白×黒のアネモネが入るだけで、大人っぽくしゃれた雰囲気で、しかも他にはない個性的なブーケという印象をアピールできると思います。インパクトのあるパンダのアネモネ、ぜひ贈り花にも利用してみてください。ご指名、お待ちしております!
藤野幸信/Yukinobu Fujino
広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「fleurs trémolo」(フルール トレモロ)オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。感動する花束を多くの人に届けたいという思いから、市場からだけでなく自ら生産者情報を入手してお気に入りの花を集める。何種類もの花を使ったブーケは、エレガントでナチュラル。著書
『大切な人への贈り花』も好評。
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藤野さんの上品でエレガントな花束が、空間を飾る素敵なアクセントに。コラムでは花にまつわるさまざまな記念日を紹介しています。 ・
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