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【季節のオノマトペ】キックキックトントン、宮沢賢治のデビュー作に何度も出てくるこの音は?

2023.02.01

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2月・足音

写真/アフロ

写真/アフロ

キックキックトントン


選・文=山口仲美(日本語学者)


雪の季節です。宮沢賢治のデビュー作は『雪渡り』。四郎とかん子と子狐たちとのユーモラスな交流を描いた作品です。そこに何回も繰り返されるのが、「キックキックトントン」。何の音だと思いますか?

「大理石よりも堅く」凍り付いた雪の上を雪沓(ゆきぐつ)で歩き、踊る音です。そこを歩くと「キックキック」と音がする。「キシリキシリ」でもなく「キュッキュッ」でもない。そこで足踏みすると、「トントン」と音が出る。板状の床で踊るのと同じ音。

「キックキックトントン」は、楽しさ満載の独創的なオノマトペ。でも、ホントにそう聞こえそうな気がしてくるところがすごい。

あなたも、藁で作った雪沓を履いて硬い板状になった雪の上で楽しそうに足踏みしてみてください。キックキックトントンっていう音が聞こえますよ!


連載「季節のオノマトペ」記事一覧はこちら>>>

『家庭画報』2023年2月号掲載。 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。

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