写真/ヤナギダ・ワタル/afloグローバル化するタンポポたち
選・文=小林浩幸(雑草生態学者)小さな春を見つけた、などとタンポポの開花が話題になる季節が近づいてきた。早春から咲いているのはだいたいがヨーロッパ原産のセイヨウタンポポで、明治時代に導入されたものらしい。盛夏を除いて年中花を咲かせる。
花の下をぐるりと取り巻く小さな葉っぱのような「総苞片(そうほうへん)」が反り返るのがセイヨウタンポポ、と聞いたことのある方も多いだろう。
写真/Masanao_Shibano/amanaimagesカントウタンポポなど在来品の花期はまだまだ先で、春たけなわの頃だが、街では少数派だ。
ところが今、気づいてみればタンポポの大半はセイヨウタンポポと在来品との雑種になっている。人間の世界は、国際化の流れに急ブレーキがかかったように見えるが、タンポポ界ではそのようなことはなさそうだ。