食べる量は同じでも基礎代謝の状態や栄養素の吸収能力、食べ物の温度によって太りやすさは異なる。体温が1度上昇するだけで基礎代謝は13パーセントも高まる
第2に食物に含まれる栄養素を吸収する能力も太りやすさの違いに影響します。同身長・同体重であったとしても吸収能力には個人差があり、その能力が高いとより多くのエネルギーを体内に取り込むことになります。
●やせたいのならたんぱく質をとりましょう
三大栄養素の食事誘発性熱産生によるエネルギー消費量の割合
厚生労働省「e-ヘルスネット/食事誘発性熱産生/DIT」を参考に作成体内に吸収された栄養素が分解されると、その一部は体熱(食事誘発性熱産生)となって消費され、その消費量は栄養素で異なる。消費量が最も多いのはたんぱく質で、摂取エネルギーの30パーセントを占める。たんぱく質は筋肉の材料となり、脂肪を減らし筋肉を増やすことが大切な中高年のダイエット食に最適といえる。
そして第3に食べ物の温度も関係しています。
「あつあつの食べ物をふうふういいながら食べるのが好きな人は、それだけエネルギーを消費するので太りにくいことがわかっています。逆にいうと冷たいものが好きな人は食事の際、それほどエネルギーを使わないので太りやすいといえるのです」。
こうした個人差がある中、太りにくくするためにはどうすればよいのでしょう。
「基礎代謝を高めることが重要で、そのポイントは体温を上げることです。体温が1度上昇すると基礎代謝は13パーセント高まります」と池田先生はアドバイスします。
そして、体温を上昇させる身近な方法として(1)飲食物は温かいものをとる、(2)体をよく動かす、(3)入浴時は湯船に浸かるという3つの生活習慣をすすめます。
「ダイエットのためにぜひ“温活”に取り組んでください。体温が上昇すると血流が促進され、新陳代謝が高まって美容効果も期待できます」
取材・文/渡辺千鶴 イラスト/平松昭子
『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。