科学が迫る手相の意味。手のしわは認知行動を表す
手相の歴史は4000年前にまで遡り、フェニキア人の時代に現代のレバノン周辺で始まったと考えられ、世界各地で独自の発展を遂げてきました。手相への異なるアプローチは、それが生まれた土地の多様な文化を反映しています。
現代では、手相術は手の分析(ハンド・アナリシス)と呼ばれることも多く、人々が自分の気質を知り、望んでいる人生を実現するための後押しをするツールとして活用されています。
手相術家は、依頼者の手のサイズや形を鑑定し(かつて「カイロノミー」の語で呼ばれた。chiro=手、-gnomy=判断術)、指紋や掌紋のパターンを観察します。また、指の長さや位置関係、爪、指輪までも見ていきます。それからようやくもっとも有名な部分、つまり手相線や手のひらのしるしの観察に入るのです(こちらは、「カイロマンシー」と呼ばれた。chiro=手、-mancy=占い)。
ここ20年で、手と遺伝的才能、行動や健康のパターンとの関係性が第一線の科学者たちによって明らかにされてきました。手相線や指紋は、胎児が5か月を迎える頃にはすでに形成されていることが知られています。
また、手相線は脳から伸びる神経の末端に直接つながっていることもわかってきました。手のひらのしわは、手を握ったり、使いすぎたりしてできるものではないのです。いいかえれば、身体活動ではなく、認知行動を映すものだということです。
ここに紹介する拙著の抜粋が、手の言葉を理解する旅へとあなたを誘うヒントになりますように。またその旅が、あなたが人生に本当に望んでいることを反映した未来、あなたの才能やあなただけの個性が表現できる未来を創り出す一助となりますように願っています。
〔特集〕鏡リュウジと英国占術4人の巨匠たち 魔法と星の国「英国」へようこそ
文/フランク・C・クリフォード 翻訳/海後礼子
『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。