有馬温泉VS箱根温泉 最終回(全10回) 首都圏からのアクセス抜群、上質な温泉と自然がもたらす風光明媚な景観で、古くから東西の奥座敷として親しまれている箱根温泉と有馬温泉。コロナ禍を経て、より心地よく進化中の両地を訪問。「今」の魅力に迫ります。
前回の記事はこちら>> 箱根の歴史散歩
1.住民の熱意が生んだ多彩な湯
ほぼ全町にわたって各地に温泉場を有し、約20種の泉質と国内屈指の湯量を誇る箱根温泉。始まりは奈良時代といわれ、山が裂けて湯本温泉が湧き出したと伝えられています。その後、主に3つの時代を経て国内外から愛される温泉地へと発展しました。
江戸時代、「箱根七湯」で知られた温泉場は、徳川将軍に温泉を献上したことでその名を高め、湯治ばかりか物見遊山の旅も定着。明治時代を迎えると、天皇陛下や新政府高官、実業家の保養地として人気を博し観光地として栄え、七湯以外にも次々と温泉場が開かれます。
住民や渋沢栄一ら多くの実業家の尽力で、新たな源泉の確保や新技術が導入され、さまざまな泉質が湧き出し豊かな効能を持つ「箱根十七湯」が完成したのです。
今も火山活動が盛んな大涌谷。渋沢栄一はここから温泉供給網を構築し、仙石原高原リゾートの礎を築いた。大涌谷神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251-1
明治11年開業の富士屋ホテル。いち早く西洋料理やベッドを導入し、横浜に住む温泉好きの外国人をもてなした。富士屋ホテル神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
TEL:0460(82)2211