名物土産(工芸編)
2.モダンに進化する寄木細工
樹木が持つ自然の色を生かし、それぞれを集めて精緻な幾何学模様を作る「寄木細工」。江戸時代後期、畑宿で石川仁兵衛が始めたといわれています。
伝統の技を受け継ぎつつ、今様のライフスタイルに合う寄木細工を手がけるのは、伝統工芸士の本間博丈さん。たとえば古典文様の麻の葉も模様を作る筋となる木はわずか0.25ミリの薄さ。ずれることなく合わせることで繊細な柄行きになります。扱う木々もパープルハートやモビンギなど海外産を取り入れ、染色せずに多彩な色合いを表現。寄木細工のイメージを覆すモダンな品が揃います。
伝統柄の小寄木をモノトーンで仕上げたお盆。500年以上、土に埋もれていた神代桂を使用。「9寸四方盆 桂神代 黒小寄木」1万5000円。寄木を貼るのではなく、くりぬくことで、曲面の模様が拡張し独特な柄を生み出している。左・棗は麻の葉模様。「麻の葉 ムクなつめ」2万5000円、「柾目似 ムク香合」1万2000円、茶杓1万2800円。右・4ミリと6ミリの市松模様で寄せた小物入れ。黄色は唐変木とモビンギ、紫はパープルハート。蓋を正面からずらすと、螺旋のような柄に。「こだま」右1万3500円、左1万2000円。(価格は改定の予定あり。)左・本間寄木美術館1階の店舗では、2代目の昇さん、博丈さんの作品などを購入できる。ワークショップも開催。右・本間木工所3代目の本間博丈さん。本間木工所神奈川県足柄下郡箱根町湯本84
TEL:0460(85)5646
営業時間:10時~16時
不定休
箱根17湯の秘密
〜温泉地の開発時代と泉質〜
監修/神奈川県温泉地学研究所 参考文献『ワンコインシリーズ(5)箱根の歴史と文化 箱根温泉の歴史』(箱根町教育委員会)※泉質は各温泉場で入浴可能な代表的なものであり、それ以外の泉質もあります。3.箱根七湯の誕生
江戸時代、自然に湧出する源泉は“天からの授かりもの”として尊ばれました。湯本、塔之澤、堂ヶ島、宮ノ下、底倉、木賀、芦之湯は「箱根七湯」(姥子も江戸時代)と呼ばれ、湯治場として繁栄。七湯は効能が異なるため、一廻を7日間として「三廻」をする湯治旅が流行しました。
4.引き湯の発展
明治時代にはインフラが整い、観光地としての需要が増加。住民や実業家による新温泉場の開発が活発になります。引き湯や、噴気に水を混ぜて温泉を作る技術が発達し、源泉地よりも眺望のよい場所に温泉場が開拓され、仙石原、小涌谷、強羅、湯ノ花沢が誕生。「箱根十二湯」となります。
5.掘削技術の進化
戦後、温泉井戸の掘削やポンプアップ、引き湯の技術が格段に進歩。住民は資金を出し合い宮ノ下の掘削や引湯管の工事までも自ら行い大平台が誕生。続いて二ノ平、宮城野、元箱根と箱根地区を合わせて芦ノ湖、最後に蛸川が誕生し、ほぼ全町で温泉を有する「箱根十七湯」が完成しました。