第42回 新生フェラガモで纏う、モダン・フェミニン
「今季はどのブランドがおすすめですか?」――スタイリストをしていると、よくこんな質問をいただきます。仕事柄、ラグジュアリーブランドのコレクションはすべてチェックしている私のイチ押しはずばり、フェラガモ!
クリエイティブ・ディレクターにマクシミリアン・デイヴィスを迎え、ロゴを一新。今までのエレガントさをベースにしつつ、アーティスティックなセンスを取り入れ、旬のモードを感じさせるコレクションは、まさに迷い世代にうってつけだと思います。
フェラガモの新クリエイティブ・ディレクター、マクシミリアン・デイヴィス。©Lee Whittakerマクシミリアン・デイヴィスのデビューコレクションは、フェラガモのハリウッドでの歴史を再構築し、ブランドのニューチャプターの幕開けを示したもの。エフォートレスとセンシュアリティーといった対極的なものや新旧入り交じる現代のハリウッドを提案したコレクションは、まさに「今」のラグジュアリーってこういうこと、と感じさせてくれるものでした。
私の印象に残ったのは、マスキュリンなテイストを現代のワードローブとしてアレンジした洋服。メンズライクなビッグサイズのコートやジャケットを女性が纏うと、洋服の中で身体が泳ぎ、ほのかにボディラインが浮き上がる……身体を直接的に描き出すのではなく、間接的に連想させるところがモダンで、新しいフェミニンの表現方法だと思いました。
「ジェンダーレス」がモード界の大きな流れとなっている今、ファッションにおいての「女性らしさ」も大きな転換期を迎え、性別という枠組よりもさらに大きな、人間としてのありようがファッションに映し出される時代になっているのです。そういう潮流を知っているか知っていないかで、お洒落への向き合い方は違ってきますし、ひいてはその人の佇まいにつながっていくのだと私は思っています。
新しくなったフェラガモは、そんなファッション界の「旬」を知る手がかりが詰まっているコレクションのように感じました。だからこそ、迷い世代の皆さんには、是非フェラガモをチェックしてほしいのです。それでは、具体的に私が興味を持ったアイテムを紹介していきますね。
レザードレスが表現する
モダン・フェミニン
コレクション全体を彩るキーカラーとなる真っ赤な砂を敷き詰めたランウェイで発表された今回のショー。以前からフェラガモのブランドカラーはレッドでしたが、前はどちらかというとボルドーに近い深めの赤。
新しいアイコンカラーに採用されたのは、彩度の高いフレッシュな赤で、鮮やかにトーンアップしました。セカンドスキンのように柔らかいスエードのドレスは、フロントとは対照的に背中が大きく開いたデザイン。バスト部分はダーツを入れず、あえて立体感を出さないことで、モダンな印象を強調しています。
「薄くなめしたスエードの滑らかさはさすが。ウエスト部分をきゅっと絞ることで、身体の輪郭を際立たせたデザイン」。ドレス73万7000円/フェラガモ(フェラガモ・ジャパン)見目麗しく際立つ
オブジェのようなフォルム
ドレスと同様のレッドの小物は、オブジェのような構築的なデザイン。ドレスアップにはもちろん、シンプルなデイリーウェアにも映えると思います。
バッグの背面は平らで、持っても置いても美しい構築的なフォルム。なおかつ脇の部分に心地よく収まるよう考えられています。サンダルはヒールがかかとよりも内側に施され、サイドビューも綺麗。バッグ(W32.0×D9.5×H39.5㎝/ハンドル込み)33万円 シューズ(ヒール10.5cm)13万7500円/ともにフェラガモ(フェラガモ・ジャパン)90年代のアーカイブを
モダンにアップデート
彫刻的なカットワークのバッグは、90年代のアーカイブを復刻し、モダンにアップデートさせたもの。光沢のあるカーフに、キャンバスのインナーバッグを合わせたコンビは、今季のコレクションのキーワードの1つ、異なる二つの要素の掛け合わせを表現しています。
「アーティスティックなデザインのバッグは、スーツやパンツスタイルで格好良く持ちたいですね」。スモールとミディアムの2サイズ展開。バッグ〈右〉(W28.5㎝×D7.5㎝×H42.0㎝/ハンドル込み)27万5000円 〈中〉(W21.5×D6.0㎝×H20㎝)24万2000円 〈左〉(W21.5×D6.0㎝×H20㎝)24万2000円/すべてフェラガモ(フェラガモ・ジャパン)アイコンである「ガンチーニ」を
取り入れた斬新なヒール
アイコンである「ガンチーニ」を、大胆にもヒールにした遊び心あふれるサンダル。ヒールのデザイン性が際立っているように見えますが、クッションインソールやヒールの接地面の広さと相まって、安定感のある履き心地です。
「私のおすすめはTシャツ×デニムに合わせて足元を主役にするコーディネートです」。サンダル「エリーナ」(ヒール10.5㎝)各17万6000円/すべてフェラガモ(フェラガモ・ジャパン)これまでとは違うテイストだと臆してしまうわ、という迷い世代の方もいらっしゃると思います。でも、どのブランドに勢いがあり、どんな服が旬なのかを知っておくだけでも自分のお洒落のブラッシュアップに役立つもの。新しいフェーズが始まったフェラガモのブティックに足を運んでみてください。
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フェラガモ(フェラガモ・ジャパン)
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