注目の人・山本耕史
衣装協力:コート5万600円 パンツ(参考商品)/ともにHOMME PLISSÉ ISSEYMIYAKE(ISSEY MIYAKE INC.)初心を忘れずに初出演の作品に挑む
数々の話題作であらゆる人物を演じ、その実力を示してきた山本耕史さんは、ミュージカル『太平洋序曲』への出演について「これだけの大作は久しぶりなので初心に帰る気持ちで演じたい」と語った。
まずは彼にとって原点となる“初心”について伺った。
「自分がいろいろな舞台作品にかかわらせていただいてきて、やればやるほど大変さを実感すると同時に、年齢とともに感じ方も変わっていきました。初心に帰るというのは、自分の意思をしっかりと伝えるということでもありますし、今回共演する世代の違う人たちがどういうアプローチで作品に取り組んでいくのかを僕自身も学ばないといけないということです。年を重ねると凝り固まってしまうということもあって、常にアップデートしていくためには、自分ができることもいったん横に置いて、新しい要素を取り入れてフラットな目線と気持ちで挑みたいと思っています」
ご自身の原点を振り返るとしたら、どの作品を思い浮かべるのだろうか。
「作品よりも『RENT』というミュージカルに出た後のとてもしんどかった10年です。よくも悪くもすごく勢いがありましたが、よくよく考えるとそれほど視野は広がっていない気がします。これだと思ったものを譲らずにやってきましたが、それがたまたま間違っていなかったから今もできているんだと思うんです。当時は“絶対にこうだ”という勘があったんだと思いますが、欲が溢れたときがあって“こんなはずはない”と思って壁にぶつかることもありました。それから次第にいろんな人と出会ったり、自分のことが認められたりして、優しいというか、柔軟になれたのだと思います。
『アナスタシア』に出演したときに『RENT』でご一緒した音響のかたから“耕史がよくこの作品に出たなと思った”といわれ“そうですよね”っていいました。出演するみんながお客さんに素晴らしいものを届けるためにそれぞれのアプローチではあるものの、同じ方向を向いているんだなと思うようになりました。一方で僕自身がしたくないことも、できないこともあるので、人と自分を比べなくなりました。僕は僕だから」