型染魚文布 柚木沙弥郎 1950年代 木綿2022年に100歳を迎え、今なお精力的に制作を続ける柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)さんの展覧会が日本民藝館で開催中だ。本展を担当した学芸部の月森俊文さんに話を伺った。
「当館は、柚木沙弥郎さんの作品を初期から所蔵し、個人作家としては、芹沢銈介に次ぐ数のコレクションがあります。加えて柚木さんは長期にわたり当館の役員、新作工藝公募展の審査員を務められ、同展では1953年から1986年までポスターも制作していただいています」
型染山羊文暖簾 柚木沙弥郎 1970年代 麻型染唐草文布 柚木沙弥郎 1990年 木綿2018年の「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」以来、同館では2回目の展覧会となる。本展の特徴は?
「今回は、日本民藝館所蔵品に作家所蔵の2点を加えた展示となります。そのうち20点弱が、未公開作品です。柚木さんの作品にはさまざまな素材を使用したものがありますが、本展では布を素材とする染色作品を中心として構成し、数点の和紙のポスター作品が加わります。制作年、手法にかかわりなく、作品をより美しく感じていただけるように取り合わせて展示しています。日本民藝館が所蔵する古作とのコラボレーション展示にも取り組んでいますので、楽しみになさってください」
型染二曲屛風「犬猫」(部分)柚木沙弥郎 1990年頃柚木さんと日本民藝館は、民藝運動の共鳴者で「型絵染」の人間国宝、芹沢銈介に柚木さんが弟子入りした1947年から密接な関係を築いてきた。深い作品理解と信頼にもとづいた展示を鑑賞できる、貴重な機会となるだろう。
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構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2023年3月号掲載。
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