選曲に表れるセンス
(c)T.Shimmuraクラシックピアニストのセンスのよさは、選曲を見ただけで伝わってくることがある。福間洸太朗はまさにそのタイプ。知性と創造力で、作品を美しくつないだプログラムを届けてくれる。
東京、国分寺市に育ち、普通高校で学んだのちヨーロッパに留学。世界を股にかける中で育んだ好奇心により、彼ならではの活動を展開する。
演奏機会の少ない作品を紹介すべく始めた「レア・ピアノミュージック」では、プロデューサーとして多くのピアニストのオンライン公演を企画。自身のYouTubeチャンネルで行う楽曲解説では、一歩進んだ知識をつけたい愛好家に最適な情報を提供する。
またフィギュアスケートの熱心なファンで、アイスショーで羽生結弦と共演した。
そんな福間のこの春のプログラムは、やはりコンセプチュアルなもの。
一つは夜、それも電気のない18世紀を想起させる内容で、作曲家が描いた「夜の恐ろしさ、神秘、ロマンティシズム、癒やし」を再現する。
もう一つは、自身の名にある「洸」の字に由来する、光と水をテーマとした現代作品プログラム。
繊細な表現力で、曲の新たな魅力を教えてくれる。
福間洸太朗(ふくま・こうたろう)20歳の頃、クリーヴランド国際コンクールで日本人として初優勝。パリ国立音楽院、ベルリン芸術大学、コモ湖国際ピアノアカデミーで学んだ。5か国語を操り国内外で活躍。テレビ朝日系『徹子の部屋』や『題名のない音楽会』ほかメディア出演も多数。 編集部おすすめ
[コンサート]
福間洸太朗 ピアノ・リサイタル
東京オペラシティ2023年3月4日(土)13:30
全席指定 5000円
京都コンサートホール2023年4月15日(土)14:00
全席指定 4000円
[曲目]
J.S.バッハ(ジロティ編):「G線上のアリア」、モーツァルト(福間洸太朗編):「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、クララ・シューマン:ノットゥルノ、シューマン:「夜に」「夢のもつれ」「トロイメライ」、グリュンフェルト:「ウィーンの夜会」、ショパン:ノクターン第2番、第13番、フォーレ:ノクターン第5番、ドビュッシー:「月の光」、ラヴェル:「夜のガスパール」より「オンディーヌ」、サン=サーンス(リスト編):「死の舞踏」
Just Composed 2023 Spring in Yokohama
― 現代作曲家シリーズ ―
Shimmering Water ― ストーリーズ
横浜みなとみらいホール2023年3月11日(土)15:00
ティンパニ:目等貴士※
[曲目]
近藤浩平:「海辺の祈り ― 震災と原子炉の犠牲者への追悼」、田中カレン:「クリスタリーヌII」、「ウォーター・ダンス」、茂木宏文:委嘱作品 初演※、レヴィツキ:「魅惑の妖精 ― ピアノのための詩曲」、カスキ:「泉のほとりの妖精」Op.19 No.2、ラヴェル:「夜のガスパール」より「オンディーヌ」、ルトスワフスキ:ピアノ・ソナタ
[詳細]
URL:
https://kotarofukuma.com/ 表示価格はすべて税込みです。
構成・文/高坂はる香
『家庭画報』2023年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。