天野惠子先生のすこやか女性外来 第10回(02)静かにしているときに、急に鼓動を強く感じたり息苦しくなったりすることはありませんか? 健康診断で不整脈が見つかり、重大な病気ではないかと不安になった人も多いのでは。しかし天野先生によれば、「ほとんどは加齢に伴う症状。心配は無用です」とのこと。受診が必要な症状の見分け方、発作が起きたときの対処法や予防法も知っておきましょう。
前回の記事はこちら>> “心臓がドキドキ、息がゼーゼー”するとき
動悸は更年期以降によくある症状。心配のいらない加齢現象です
天野惠子(あまの・けいこ)先生静風荘病院特別顧問、日本性差医学・医療学会理事、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長。1942年生まれ。1967年東京大学医学部卒業。専門は循環器内科。東京大学講師、東京水産大学(現・東京海洋大学)教授を経て、2002年千葉県立東金病院副院長兼千葉県衛生研究所所長。2009年より静風荘病院にて女性外来を開始。(1)動悸が気になる?
安静時の胸のドキドキはよくある更年期症状
「動悸」はふだん意識しない心臓の拍動を強く、速く感じる症状。「息切れ」はゼーゼーと息が切れて苦しさを感じる症状。
いずれも激しい運動の後に体内の酸素不足を補おうとするときや、緊張や興奮状態にあって交感神経が優位のとき(3/8公開予定の記事にて詳しくご紹介します。)などに生じます。
更年期以降、安静時にも起きることがありますが、そのほとんどは自律神経失調症状。やがて治まり、特に治療の必要のない場合が大半です。
(2)健診で不整脈といわれた?
脈が飛ぶ「期外収縮」は9割の人に生じています
夜更かし、睡眠不足、カフェインの摂りすぎ、心身のストレスは動悸や息切れ、不整脈の要因に。「不整脈」とは拍動のリズムが遅くなったり速くなったりと不規則になる状態です。通常の脈拍数は毎分60~100回ですが、50回以下を徐脈、100回以上を頻脈といいます。
また、脈が飛ぶ不整脈は「期外収縮」と呼ばれ、健康成人の約9割にみられるごくありふれた症状です。
多くはコーヒーなどカフェインを含む飲料やアルコールの摂りすぎ、睡眠不足や過労などのストレスで自律神経が乱れることで生じています。