きものの解説は、記事の最後にある「フォトギャラリー」をご覧ください。もったいながりの母は、桜の季節になると決まって、都内の名所を巡り、
「ほら、ほら、ようく見てごらん。見逃したら、もったいないよ。ほんとうに『桜ばな いのち 一ぱいに咲くからに 生命をかけて わが眺めたり』だね〜」
と、まるで子どものようにはしゃぎ、桜一輪一輪に語りかけるように眺めるのが常だった。
内田家のお墓だって、関西出身の父方の祖母が亡くなった折、母が見事な桜の咲くお寺を都内で探し、
「お墓っていうのは、残された家族が思わず行きたくなるような、気持ちのいい場所じゃなきゃ。お墓の前に茣蓙(ござ)を敷いて、みんなでお花見しようね」
と、なんだかお気に入りの物件でも見つけたように、心浮かれていた。そして、その言葉通り、私たちは数え切れないほど、お花見という名のお参りに出かけた。時には、友人知人まで連れ立って。
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