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小さなピンクの花がびっしり! 人気の花木「ハナズオウ」はハート型の葉も魅力です

2023.04.06

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365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。一覧はこちら>>

ハナズオウ


ハナズオウ
日本の伝統色にもなっている蘇芳色によく似ていることからハナズオウ。蘇芳色は少し黒みを帯びた赤で、ハナズオウはそれより華やかな濃いピンクですが、たしかに少しだけ黒が混じっているような落ち着き感がある気がします。

■属科・タイプ:ジャケツイバラ科の落葉低木〜中木
■花期:4月

愛らしい花とハート型の葉。人気の理由がわかります!


蘇芳染めをご存じでしょうか。蘇芳=スオウはインドやマレーシア半島原産の木で、古い時代に中国を経由して渡来したといわれています。染料として使われるのは幹や小枝をチップにしたものですが、そこから生まれる濃淡ピンクのなんと美しいこと! 草木染めの専門店でその色彩を見たとき、その魅力的な色に惚れ惚れしました。

その蘇芳染めのピンクに花色が似ていることから、ハナズオウと呼ばれるのが今回ご紹介する花木です。例年であればソメイヨシノがまだ散りきらない4月上旬、葉が展開する前に枝にびっしりと小さな花を咲かせる人気の花木です。種類によっては樹高が高くなるものもありますが、出回っている多くの種類は高くなっても3mくらいまでで、目線のすぐ先で花が楽しめます。

花が愛らしいのはもちろん、ハナズオウは葉もまた魅力的で、満開になる直前から展開し始める葉はかわいらしいハート型をしています。ハート型のまま、どんどん大きく成長していくのですが、小さいハートが大きなハートになっていく過程を観察する楽しさも、私がこの花木を気に入っている理由です。

ハナズオウ
アメリカハナズオウ‘フォレストパンシー’は、こんなにかわいらしいハート型の新葉が出ます。私はこの葉を見つけると押し葉にして保存しておきたくなります。ちなみにハナズオウの葉は緑色のハート型です。

ハナズオウは中国原産ですが、北アメリカ中部から東部に分布する別種が、アメリカハナズオウという名前で出回ります。‘フォレストパンシー’という品種名でもよく知られ、こちらもとても人気があります。

花のかわいらしさは変わらないのですが、‘フォレストパンシー’ は葉色がシックな赤紫色です。とくに出始めの葉は赤みが強く、鮮やか&つややかで、小さな赤いハートを見つけると思わずカメラを向けてしまうかわいらしさです。カラーリーフとして庭や外周りの植栽で活躍しているので、散歩の途中で見かけることもあると思います。その際には、ぜひ花と一緒に小さなハート型の葉にも注目してください。

栽培の難易度


栽培の難易度 ★★☆☆☆

耐暑性・耐寒性とも強く、育てやすい花木です。日当たりがよく、肥沃で水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷり水やりします。地植えの場合は水やりは雨まかせでかまいませんが、幼木の間は土壌が乾いたら水やりをします。翌年以降は1月に有機質肥料を株元に埋めておきます。根元から新梢が出ているのに気付いたら随時カットするよう気をつけます。樹高をコンパクトに押さえたい場合は、落葉期に低い位置で枝分かれしているものを残し、古い枝、伸びすぎた枝を切り除き、込み合っている箇所を透かすような剪定を行います。

【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる

高梨さゆみ/Sayumi Takanashi

イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。
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