自身を託すフレグランスと出会う 最上級の香りをまとうという贅沢 最終回(全12回) より自分らしいフレグランスを求める女性が増えている今。香りが自分の個性と響き合い、魅力を高めてくれるから、「私」という存在をそのまま委ねたくなる。その確かなクオリティが、自信をも授けてくれる。そんな香り選びの指針を、エクスクルーシヴなフレグランスとともにご紹介します。
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自身を託すフレグランスとの出会い方
その答えは「自分と向き合い、自分をよく知ること」と、3人のパフューマーは声を揃えて語ります。今現在のフレグランスへの思いや、つきあい方まで、家庭画報読者にメッセージをくださいました。
あたたかい腕の中に包み込まれるような香りが必要
ゲラン調香師 デルフィーヌ・ジェルクさん
2003年よりゲランとの協働が始まり、2014年、メゾンゲランに調香師として参加。マスター調香師ティエリー・ワッサーとともに「アクアアレゴリア」「ラール エ ラマティエール」の新たな香りを創り上げる。Q1 現在のフレグランスの存在意義をどのように感じていますか?
私たちが必要としているもの、それは、先行き不透明な今の世界において、人々とつながり、安心できる感覚です。2年間も人と直接会って深いコミュニケーションを取ることができない時期が続いたからこそ、あたたかい腕の中に包み込まれるように、安心感を与えてくれるムスク、ネロリ、ローズのような香りが必要とされるようになりました。
Q2 自分自身を託すフレグランスと出会う方法を教えてください。
香水は私たちの個性を表現するものです。過去にどんな人だったのか、そして今どんな人なのかを定義するものです。香りは子ども時代やさまざまな記憶、好き嫌いと密接に関係しています。とてもエモーショナルなものですから、自分の内面とリンクしていなければならないのです。
Q3 香水の作り手であるみなさんは、香りをどのように楽しんでいますか?
好きな香水は「ジッキー」です。ジェンダーレスであることと、その歴史が好きです。私がゲランで挑戦していることもこれで、男性的な香調を女性的に仕上げるのです。パフューマーとして、私の香水のワードローブは常に進化しているといえるでしょう。とはいえ、ローズ、アイリス、ジャスミン、ベルガモット、バニラ、トンカという象徴的な素材からなる「ゲルリナーデ」(注:ゲランが大切にする6つの香料)は、私にとって本当に貴重で大切なものです。