春、日本列島はいちご色に染まる 日本全国いちご図鑑 第7回(全13回) 現在、品種登録されているいちご品種は全国で300を超え、作付けされる主要品種は70以上。これだけ多種多様ないちごを味わえるのは世界において日本だけかもしれません。晩秋から春にかけて、日本列島を席巻する甘酸っぱい赤い宝石「いちご」の魅力を深掘りします。
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ラトリエ ア マ ファソン(東京・上野毛)
いちごのゼリーから透ける、薄切りのいちご。その下にはバニラアイスクリームやフランボワーズジャム、生クリーム、ほのかにバラが香るいちごムースが隠れ、アーモンドのクリームやチュイルがコクと香ばしさをプラス。「苺のメルバ」3960円。販売期間:4月末までの予定。グラスを覆う真っ赤なゼリーから、たなびく雲のようにいちごが美しく透ける「苺のメルバ」。たゆたう情景を形にしたこのグラスデザート(パフェ)は、芸術的なグラスデザートで独創的な世界観を表現するオーナーシェフの森 郁磨さんにとっても、思い入れのあるひと品といいます。
味わいのベースとなったのは、名料理人オーギュスト・エスコフィエが考案したピーチ・メルバ。桃をいちごに替える以外は味の要素を変えず、バニラアイスクリーム、フランボワーズ、生クリーム、アーモンドとともにグラスの中に再構築しています。
「本来は上からフランボワーズのソースをかけるのですが、それをいちごの果実味あふれる赤いゼリーに置き換えました」と、森さん。その視覚と味覚が与えるインパクトが、鮮やかな記憶として食べる人の心に深く刻まれていきます。
Information
ラトリエ ア マ ファソン
東京都世田谷区上野毛1-26-14
表示価格はすべて税込みです。 撮影/本誌・西山 航 取材・文/瀬戸理恵子
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。