365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> ヤグルマギク
ブルー、ピンクの濃淡のヤグルマギクが群生するシーンを見かけました。上品な花色の組み合わせで、とてもナチュラルな雰囲気。プロのガーデナーさんが好んで使うのにも納得です。■属科・タイプ:キク科の一年草
■花期:4月〜6月
■草丈:40〜90cm
軽快で繊細な姿はプロのガーデナーさんにも大人気
春の一年草の中でも、プロのガーデナーさんが好んで使う花の一つがヤグルマギクです。学名はセントーレア・シアヌスで、セントーレアの名前でも出回ります。ヤグルマソウと呼ばれることもありますが、ユキノシタ科に同名の植物があることから、最近ではヤグルマギクという言い方がメインとなっています。
花の形が矢車に似ていることが花名の由来ですが、群生させると、この風通しのよさげな花がとても軽やかでナチュラルな雰囲気のガーデンによく似合うのが、支持される大きな理由だと思います。
ヤグルマギクにはブルー系の濃淡やピンク、黒みがかった赤紫などの花色がありますが、ガーデナーさんたちにはとくに青花が人気で、春のガーデンではこの澄んだ青がよく目立つのだそうです。草丈がけっこう高くなるのですが、茎がしなやかで風が吹くとなびくようなさまも魅力的だと感じます。
ヤグルマギクといえば、この透明感のあるきれいなブルーが印象的。矢車のような個性的な花形もかわいらしい!ヤグルマギクはタネからでも容易に栽培でき、タネまきの適期は秋です。寒冷地では春の一年草は4月になってからまくことも多いのですが、寒冷地にあるガーデンで伺ったところ、ヤグルマギクは耐寒性が強く、秋まきしても厳しい寒さに耐えるのだそうです。
ただし、早めにタネをまいて霜が降りる前に本葉が数枚出るまで育てておくことが大切なのだとか。本葉数枚の姿で、冬にはその葉を地面にぺたりとつけて寒さをしのぎ、気温が上がり出すとぐんぐん大きくなる。そんな成長ぶりを観察するのも楽しいだろうなと感じました。
花色ミックスのタネがよく出回りますが、どの花色もとても魅力的で、1本だけ摘み取って花器に挿しても絵になるので、庭があったらこの花を咲かせたいと思っています。
栽培の難易度
タネから育てる場合は、タネまき適期は10月です。12月中旬に花壇に植えつけて冬越しさせます。植えつけ時に元肥を施し、たっぷりと水やりします。根が活着した後の水やりは雨まかせでかまいませんが、土壌がからからに乾燥していたら水やりします。追肥の必要はありません。気温が上がり始めて茎が10〜20cmに伸びたところで、成長点をカットして摘心すると、わき芽が増えて安定感のある苗に育ちます。花が終わったら花茎の根元から摘み取ります。早めに摘んでドライフラワーにすることも可能です。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。