365日 花散歩に出かけよう 日々、何気なく歩く道や街で出会う花や花木の名前がわかれば、もっと散歩が楽しくなります。ガーデニングエディターの高梨さゆみさんが、季節の花や花木を毎日紹介。住宅街でも見つかる身近な植物や、人気の園芸品種もピックアップ。栽培のコツも紹介します。
一覧はこちら>> オルレア
大学のキャンパスでオルレアの群生を見かけました。勝手に増えて群生になったそうですが、花咲く草原のような雰囲気がロマンチックです。■属科・タイプ:セリ科の一年草
■花期:4月中旬〜7月中旬
■草丈:60〜100cm
純白の繊細な花がロマンチックな景色を生み出します
どれだけ美しい花色がたくさんあっても、白い花には他にはない独特の魅力があると思います。あれほど種類が豊富なバラでも、いちばん人気が高くてよく売れるのは、白花だと聞いたこともあります。
春に咲く白花の中でも、最近人気なのがオルレアです。学名のOrlayaのとおりにオルラヤと呼ばれることもあります。アブラナ科のイベリスにも似ていますが、オルレアは草丈が高いため群生させると、レースのカーテンを広げたような景色になります。
セリ科の花といえばノラニンジンやレースフラワーの名で知られるダウカスなどがありますが、オルレアも葉が茂る様子などはそれによく似ていて、セリ科の花がもつ繊細な魅力をたっぷりと感じさせてくれます。
オルレアは春に咲くイベリスより繊細な花形をしています。葉は同じセリ科のニンジンによく似てこちらも繊細。これは園芸品種の‘ホワイトレース’。この品種がよく利用されています。日本での栽培の歴史はまだ浅いといわれますが、タネからでも比較的容易に栽培できるため、庭で育てているお宅も多く、個人邸の外周りでも咲いているのをよく見かけます。庭で群生させている友人がいて、花が咲くこの時期は必ず訪ねて見せてもらうのですが、一面に白い花が咲く景色を目にすると、心が洗われるような気持ちになります。
ちなみにオルレアは切り花にすると水揚げが悪いともいわれますが、友人によると切ってすぐ、たっぷり水を入れたバケツに入れておくと吸い上げがよくなり、しおれることがないそうです。そして、花を摘むのは朝がいちばんよいそうです。
こぼれダネでよく増えるのですが、増えすぎて困るので、どんどん摘んでアレンジに利用していると聞き、とても羨ましく思いました。もちろん、帰る際にはいつもオルレアたっぷりの花束をいただき、それを自宅に飾るのも楽しみの一つです。
栽培の難易度
原産地のヨーロッパでは宿根草ですが、日本では夏の高温多湿で傷んでしまうため、一年草扱いとされます。秋まきでタネからでも比較的容易に栽培できますが、春先にポット苗でも出回ります。日当たりがよく、水はけのよい土壌に植えます。植えつけ時に元肥を施せば、追肥の必要はありません。水やりは雨まかせでかまいません。次々と新しい花が咲いてくるので、花が終わったら随時花がらを摘み取るときれいな景色が保てます。
【難易度】
★ 容易・初心者向け
★★ 標準・初級〜中級者向け
★★★ 少し難しい・中級〜上級者向け
★★★★ 難しい・上級者向け
★★★★★ 栽培環境が限られる 高梨さゆみ/Sayumi Takanashi
イギリス訪問時にガーデニングの魅力に触れて以来、雑誌や本などで家庭の小さな庭やベランダでも楽しめるガーデニングのノウハウを紹介。日本、イギリスの庭を訪ね歩くほか、植物の生産現場でも取材を重ねる。